今年の夏も歴史的暑さなのに・・『蒸し器の物流センター』に解決策なし~政府が熱中症予防ガイドライン 2022年5月29日 韓国の労災・安全衛生

昼間、街路樹の陰で、市民が汗を拭いて、涼んでいる。29日のソウルの昼間の気温は30度近くにまで上がった。/聯合ニュース

物流センターなどの室内温度の高い事業場に、政府が初めて、熱中症予防のためのガイドラインを提示した。昨年、クパン物流センターが猛暑対策の死角地帯だと指摘され、今年新たに反映したものだが、事業主が従来していた措置を繰り返す水準である上、強制力もなく、実効性は未知数だ。

夏場を控えて29日、雇用労働部が発表した「猛暑による熱中症予防三大基本規則履行ガイド」(熱中症予防ガイド)によれば、労働部は今まで屋外事業場に案内していた「水・陰・休息」という三大規則に加え、室内事業場の熱中症予防ガイドを追加して案内した。 △倉庫型物流センターのように熱が抜けにくい室内事業場には、室内温度が適正水準に維持されるよう冷房装置を設置し、△設置が困難な場合、周期的に窓を開けて暑い空気を排出し、△できるだけアイスベスト・アイスパックなどの保冷装具を労働者に支給し、着用するように、ということだ。

しかし、このような内容は相当数の事業主が既に行っている基本的な安全規則を再確認するレベルだ。昨年7月、クパン物流センターの蒸し暑い室内の労働環境が問題になった時も、クパン側は「扇風機と水、アイスクリームを備えた」とし、熱中症予防措置をしているという立場だった。しかし、公共運輸労働組合クパン物流センター支会側は「扇風機があっても内部温度が下がらず、水などは休息時間がとれなくて、飲みには行けなかった」と反論し、休息時間を周期的に付与するなど、事業主の義務を特定してくれと要求した。屋外作業の場合、ガイドは「1時間ごとに10~15分ずつ休憩させること」と定めている。一方、室内作業には「改善が避けられない場合、仕事量を調整したり休息時間を付与せよ」という案内をしただけだった。

その上、室内事業場の熱中症予防ガイドは、屋外作業に適用される三大規則(水・陰・休息)とは異なり、単純勧告事項で、法的強制力がない。三大規則は産業安全保健法施行規則である「産業安全保健基準に関する規則」に根拠を置き、事業主がこれに違反した場合、懲役5年以下または5千万ウォン以下の罰金に処せられる。反面、室内作業はこのような法的根拠がない。

クパン物流センターのミン・ビョンジョ支会長は『ハンギョレ』との電話で、「このように曖昧なレベルのガイドを見て、どの事業主が休息時間をきちんと付与するだろうか。強制力がなければ、義務は具体的でなければならないが、そうでもない」と批判した。雇用労働部の関係者は「屋外作業は作業環境がほとんど似ていて、休息時間などの義務を特定しやすいが、室内事業場は作業のやり方がそれぞれ違うため、包括的な原則を提示した方が良いと考えた」とし、「今年の下半期に、産業安全保健規則が室内外作業を包括する方向で改正されれば、より具体的に案内できるだろう」と話した。労働部は水を飲む時間と休息権を室内事業場にも適用できるように、産業安全保健規則を改正して立法予告している状態だ。

ただ、重大災害処罰法が1月に施行されたので、今年の夏からは、事業主は熱中症予防ガイドを無視するわけにはいかない。50人以上の事業場で重大労働災害が発生した場合、経営責任者が災害予防義務を果たしていなければ刑事処罰を受けることになるからだ。同じ事業場で同じ有害要因で職業性疾病者が3人以上発生すると、重大災害法が適用されるが、該当疾病の種類に熱中症が含まれている。労働部によると、2016年から昨年までの6年間で、夏場の猛暑で熱中症労働災害に遭った労働者は182人で、このうち29人(15.9%)は死亡している。

2022年5月29日 ハンギョレ新聞 シン・ダウン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1044807.html