「発がん物質にばく露」サムソンSDIの研究員が白血病で死亡2019年1月31日

サムソンSDIで半導体用の化学物質を開発していた労働者が亡くなった。
31日、市民団体「半導体労働者の健康と人権守り」(パノリム)によれば、サムソンSDI専任研究員のファン某さん(32)が29日、ソウル聖母病院で死亡した。
ファンさんは2014年5月から、サムソンSDIの水原事業場で、半導体用の化学物質を開発する業務を担当し、2017年12月に急性骨髄性白血病の診断を受けて闘病していた。
パノリムは故人が働いていた当時、白血病を起こすベンゼンとホルムアルデヒドなど、多数の発ガン物質にばく露したと指摘した。パノリムのイ・ジョンラン労務士は「ファンさんの研究環境はあまりにも劣悪だった」とし、「発ガン物質を扱いながら、何の保護装置もなく、手動方式で仕事をし、薬液が飛び、換気もなく、鼻を刺す臭いに保護具も支給されなかった」と話した。
ファンさんはソウル聖母病院で坑がん治療と骨髓移植を受け、翌年3月に勤労福祉公団に産業災害療養給付の申請をしたが、公団側は疫学調査の有無さえ教えてくれなかったと話していた。ファンさんは1月19日、骨髄移植に対する移植片対宿主病(輸血されたリンパ球が免疫機能が低下した患者の身体を攻撃する異常現象)で集中治療室に移され、結局10日後の29日午後8時頃、亡くなった。
サムソンは昨年11月、白血病被害者に謝罪して補償を行うと明らかにしたが、サムソン電子を除いたサムソン電気やサムソンSDS、サムソンSDIなど、他の系列会社で報告された被害はこれに含ませなかった。ファンさんのように、系列会社で有害物質を扱って病気に罹る労働者がいるが、補償の手続きが円滑に行われるかは不明な状態だ。
この間、サムソンの系列会社でパノリムに情報提供してきた事例だけで104人で、この内60人が死亡したことが分かっている。生産職だけでなく、ファンさんのような研究職も被害を受ける可能性がある。しかし、サムソンなど大企業は、依然として使う化学物質を営業秘密として公開していない。パノリムは「労働者が安全に働けるように、毒性物質の規制をしなければならない。研究労働者の劣悪な業務環境も早急に改善しなければならない」と指摘した。

2019年1月31日 京郷新聞 パク・ヨンハ記者