『疲労にストレスまで』鉄道労働者が危機だ 2022年4月25日 韓国の労災・安全衛生

乗客数千人の安全を一人で担う乗務員から「重病」を抱えている整備士、不特定多数の市民からストレスを受ける駅員、換気もまともにできない地下で一日中働く技術者まで、軌道労働者が危険な労働環境に置かれている。

28日の世界労災死亡労働者追悼の日を迎え、公共運輸労組と全国鉄道地下鉄労組協議会(軌道協議会)は『鉄道・地下鉄労働者の産業災害の現実と課題』をテーマに討論会を行い、△乗務、△車輌、△駅務、△技術の四職種の労働環境を証言した。

疲労とストレスを誘発する「交代勤務制」
「人員削減による業務量の増加、筋骨格系疾患の誘発」

鉄道・地下鉄の乗務分野の労働者は、列車の運行スケジュールに合わせて勤務する交代勤務制が適用される。軌道協議会のハン・チャンウン労働安全保健委員長は、「機関士たちは、不規則な生活リズムを慢性的に助長する勤務形態に合わせて働いている」とし、「交代、単独、車上勤務の特性から、一般交代勤務よりも肉体的な疲労と精神的なストレス、生活的な疎外が深刻だ」と話した。安全保健公団の鉄道機関士職業健康ガイドライン(2015年)によると、機関士は一般の人口集団に比べて、恐慌障害(4倍)、うつ病(2倍)、外傷後ストレス障害(4倍)の発生比率が高いことが判った。

列車の車輌整備をする労働者たちは筋骨格系疾患に苦しんでいる。ソウル交通公社では、12年から昨年までの10年間に43人が筋骨格系疾患として、労災が認められた。このうち39人が車輌分野の労働者だった。現場の労働者たちは、人員削減による業務量の増加を原因として挙げている。ソウル交通公社労組車輌本部のファン・スソン事務局長は、「鉄道安全法のどこにも、電車一輛を整備するための適正人員については規定していない」とし、「整備人員の算定基準は運営会社の裁量に委ねられているが、財政悪化を口実に人員を削減するリストラが労災を誘発している」と指摘した。

マスク着用案内に暴行を受ける駅員
換気のないトンネルで働く技術者

駅務分野の労働者は感情労働の被害を訴えている。ソウル交通公社の感情労働被害事件の発生現況資料を見ると、2020年から今年3月までに、被害事例375件が受け付けられた。酔っ払いの暴力が146件で最も多かった。秩序指導(79件)とマスク着用取り締まり(71件)、不正乗車取り締まり(31件)によっても、被害事例が多数発生した。2020年7月には、マスクを着用していない乗客が、コロナ19予防のためにマスクの着用を案内する職員に暴行を加え、現行犯で逮捕されたこともある。ソウル交通公社労組のノ・ギホ感情労働監督官は、「駅務労働者に発生する感情労働被害の事例は『重大心理災害』と言える」とし、「多数の人が見守る中で発生する暴言と暴行、セクハラ、侮辱は、精神的な後遺症が酷い」と証言した。

技術分野の労働者たちは深夜にトンネル内で作業しながら、ラドンとディーゼル燃焼物質、微細粉塵、騒音に曝されている。2005年に34歳の労働者が、地下の駅舎とトンネルで石綿とディーゼル燃焼物質に曝露し、肺がんで死亡した。その後も、肺疾患に関する職業性疾患による労災が続けて承認されている。ソウル交通公社の技術職労働者のハン・サングクさんは「地下トンネルは、営業終了後は換気設備がほとんど稼動していない」とし「作業者たちは濾過されていない有害物質に曝されている」と強調した。

仕事と健康のハン・インイム事務処長は、「軌道分野の労働者たちの危険要素は多種多様で、一つの何々だと説明しにくい」、「共通しては、労働者の健康と安全を損なう人員不足の問題を解決しなければならない」とし、鉄道・地下鉄労働者の労働環境を改善するための方策として、勤務制度の改善をはじめ、△地下空間の空気の質の管理戦略作り、△二人一組作業の詳細化、△地下の寝室を地上に移す戦略作り、を提案した。

2022年4月25日 毎日労働ニュース シンフン記者

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