■キム・ヨンギュン法は危険の外注化を防げるか 2019年1月3日

産業安全保健法の全面改正案が先月27日に国会を通過した。

◆勤労者→仕事をする者→労務を提供する者:保護対象は依然として「一部職種」に制限

改正法第1条(目的)「労務を提供する者の安全と保健を維持・増進することを目的とする」には、現行法にはない大きな課題が登場する。
当初、政府が提出した原案は、保護対象が「仕事をする者」だったが、国会・環境労働委員会の議論の過程で、「定義が不明確だ」という理由で変更された。しかし条文のどこにも「労務を提供する者」についての定義がない。雇用労働部の関係者は「定義規定を置くより置かない方が、保護対象を幅広くできる」ので、「新しい類型の労務提供関係まで考慮した」と説明した。
野党は国会・法制司法委員会でこの問題に喰い下がり、「法体系の明確性が損なわれる」と主張した。イ・ジェガプ労働部長官が「事業主に義務が課せられる部分は、勤労契約を締結した勤労者に限定される」と何回も確認した後に、改正法は法司委の壁を越えることができた。法の保護の対象を、「労務を提供する者」に拡大したが、実際には法の適用対象が産業災害補償保険法の適用を受ける一部の特殊雇用労働者と配達労働者に限定されるという点で、依然として狭いと批判される。民主労総のチェ・ミョンソン労働安全保健室長は、「法の適用対象が狭く、使用者の措置の範囲も制限的ではあるが、新しい雇用構造を全く反映できない労働関係法に初めて亀裂が生じた、という点で意味がある」と評価した。

◆元請けの安全保健責任の範囲を巡る争いは不可避

改正法では、元請けの安全保健責任が大幅に強化される。危険の外注化を防ぐために、請負を禁止する条項が準備された。しかし、請負の禁止対象は、メッキ作業と水銀・鉛・カドミウムなど12の化学物質を扱う作業に限定される。キム・ヨンギュンさんの死を招いた泰安火力発電所は、危険作業を引き続き下請けに押し付けることができる。
元請け使用者の安全保健責任が重くなれば、下請け労働者は今より安全に働けると判断される。構内下請けなど、元請けの事業場での安全保健責任は、全面的に元請けが負わなければならない。
改正法には関係需給という概念が導入された。例えば、多段階下請けも元請けの責任範囲に含む。問題は元請けの事業場の外で起きる危険の外注化だ。環境労働委で終盤まで争点になって政府原案より後退した。「請負人(元請け)が提供したり指定した場所」に加えて「支配・管理が可能な場所」という文面が追加された。元請けの具体的な安全保健の責任範囲は、下位法令に委任された。労使間で激しい争いが避けられないだろう。
死角地帯であったサービス業で元請け責任が大きくなり、建設業に別途の特例が新設され、建設工事の発注者に責任を問えるようになったことは意味がある。労災死亡時の加重処罰条項が新設されるなど、企業に対する処罰が強化された点も注目される。
反面、改正法が施行されれば、労働部長官の作業中止命令は今より減ると予想される。現行法には、長官の作業中止命令に関する根拠がない。環境労働委は改正法議論の過程で、財界の反発を考慮して、長官の作業中止命令の要件を「産業災害が再び発生する、緊急で差し迫った危険があると判断される」場合に限定した。事業場の全面作業中止が事実上不可能になるという意味だ。

2019年1月3日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者