有害・危険な労働環境は「改善」、精神健康は「悪化」~安全保険公団が『六次勤労環境調査』の結果を発表 2022年3月10日 韓国の労災・安全衛生
勤労環境変化の推移
3年前に比べ、事業場の有害・危険要因への曝露は減少し、労働の強度と労働時間も少し減少したことが分かった。しかし、労働者自ら認識する主観的な健康状態は、むしろ悪化したと調査された。コロナ禍で雇用の展望についての不安が大きくなり、うつ病のような精神の健康が脅かされているという分析が出た。
3年周期の調査、労働時間短縮の効果を確認
安全保健公団の産業安全保健研究院は9日、このような内容の『六次勤労環境調査』の結果を発表した。勤労環境調査は、15歳以上の就業者5万人を対象に、3年周期で実施される。有害危険要因への曝露や、労働時間・労働強度など、130項目を調査し、広範囲な労働環境の実態を把握する。今回の調査は、コロナ19の影響で2020年10月から昨年4月までの6ヵ月間に行われた。
全般的な労働環境は、文在寅政府が発足した年の2017年の五次調査に比べて改善している。労働時間の25%以上を有害・危険要因にさらされて働くという回答者の割合は、2017年比で、騒音は21%から15%に減少し、高温は24%から15%に、痛みを誘発するような姿勢は51%から38%に減少した。
週52時間(延長労働12時間を含む)上限制の施行効果も確認された。52時間以上働く回答者の割合は、2017年の21%から13%に、土曜日勤務の割合は、51%から43%に減少した。労働強度の変化も確認された。急いで働くという回答は、25%から17%に、厳しい締め切り時間の要求も、25%から18%に減った。2018年の感情労働者保護制度の実施によって、感情労働者の労働強度も小幅ながら改善された。「私はいつも感情を殺して働かなければならない」という回答は、2017年の40%から38%に減少した。
差別や侮辱の経験は減ったが、言語・身体的な暴力とセクハラの経験は、むしろ増加したことが調査で判った。雇用形態による差別は、2017年の5.5%から3.2%に、侮辱的行為は、3.3%から2.2%に減少したが、同期間での言語による暴力の経験は、4.8%から5.4%に増えた。セクハラの経験も、0.2%から0.4%に増えた。
業務疎外が大きくなり、雇用の不安感が高まる
自律的な問題解決と複雑な業務遂行といった知的な活動は減り、職務の自律性も低くなり、業務が単純になる傾向を見せた点も目に付く。複雑な業務遂行の経験は2017年の38%から32%に、業務中の意見反映の可能性は87%から83%に減少した反面、決定の権限は、仕事の速度で『42%→35%』、仕事の方法で『43%→39%』に低下した。
「コロナ19」によって雇用に対する不安感は高まった。自分の職業について、肯定的な見通しを持つ回答者は、40%から35%に減った反面、6ヵ月内での失業を懸念する回答者は、10%から12%に増えた。
特に、労働脆弱階層ほど悪影響が大きかった。賃金労働者の場合、雇用の展望に関する肯定的な回答は38%だったが、臨時職では25%と13%低く、日雇いは16%で、肯定の回答が半分以下に下がった。主観的な健康状態を「良い方」と答えた割合(73%→69%)も下がった。代わりに、頭痛・疲労・不安感・睡眠障害などの健康状態に否定的な回答が概ね増えた。関連指標である『WHO-5ウェルビーイング指数』が59点から57点に落ちた。この指標は、世界保健機関のうつ病の危険測定の道具で、50点以下ならうつ病のリスクが高いと解釈される。
2022年3月10日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=207761