『被害者の治療・補償』なき3Dプリンティング対策 2022年3月10日 韓国の労災・安全衛生

政府が出した3Dプリンティング利用者の健康を保護するための対策が実効性を持つためには、学校現場の全数調査と安全品質認証を義務付ける措置を執るべきだという主張が出ている。

9日、職業性・環境性がん患者を探す119と全教組によると、政府が8日に発表した『3Dプリンティング安全強化対策』には、教育現場で危険物質に曝露した教師と生徒に対する全数調査と後続対策が抜けている。

3Dプリンティングは、素材のフィラメントに高熱を加える過程で、微細粒子と揮発性有機化合物を放出する。該当の教育をしていた京畿科学高校の教師が、18年に肉腫がんの診断を受けたことをきっかけに、安全性を巡る問題が議論となっている。昨年は肉腫がんに罹った教師3人が、公務上の災害を申請している。

全教組は「公務上の災害を申請した3人の教師に対する災害認定対策が抜けていて、完全な安全強化対策とは見られない」とし、「フィラメント素材に曝露した教師と生徒に対する全数調査と対策も抜けている」と指摘した。全教組と職業性癌119は、3Dプリンティングの過程で肉腫癌に罹った教師を公務上の災害と認め、教師・生徒に対する全数調査を実施するように政府に要求した。

全教組の関係者は「昨年、教育部が学校現場で、教師・生徒114人の健康に異常が発生したという実態を確認しても、治療と補償対策を出していない」、「これらを含め、教師と一緒に授業を行った生徒に対する全国的な全数調査を直ちに実施し、措置を執るべきだ」とした。特に「三次元プリンティング産業振興法は、産業の育成・振興だけに偏り、安全保健管理体系の構築には限界があると指摘されている」、「三次元プリンティング関連の技術と委託に関する品質認証を、実施『できる』と規定されている現在の条文を、『しなければならない』に変えるべきだ」と主張した。

政府は8日、3Dプリンティングの利用者が、有害物質の放出が少ない装備・素材を安全な方法で利用する作業環境作りを目的として、3Dプリンティングの安全強化対策を発表し、3Dプリンティング安全利用指針を提供し、支援体系を構築するとした。毎年の実態調査で、3Dプリンティング活用機関の安全を点検し、不十分な安全機関は利用を自制するよう勧告する計画だ。

2022年3月10日 毎日労働ニュース チェ・ジョンナム記者

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