現代製鉄で485度の液体に落下して一人が死亡 2022年3月2日 韓国の労災・安全衛生

2日、現代製鉄の労働者が事故に遭った唐津製鉄所のメッキポットの現場で作業が中止された状態。ポットの中の金属が固まっていると見られる。故人は写真の右側から作業中にポットに落ちて死亡したという。/金属労組忠南支部提供。

現代製鉄の唐津製鉄所で、メッキ作業に投入された労働者が、金属を溶かす設備(ポット)に落ちて死亡した。現代製鉄は常時労働者数が1万人を超え、「重大災害処罰等に関する法律」(重大災害法)の適用事業場だ。

2日、<ハンギョレ>の取材を総合すると、2日午前5時40分頃、唐津の現代製鉄冷延工場で、Aさん(58)がメッキポットに落ちて死亡した。メッキポットは鋼板をメッキするための亜鉛を、485℃で溶かして液体にする設備で、Aさんはポットの近くにしゃがんで、液状の金属の上に浮び上がる屑(スラッジ)を長い道具で取り除く作業を行っていて、事故に遭ったという。事故現場の写真を見ると、Aさんが作業していた位置とメッキポットの間のあごが30cm足らずと狭く、重心を失って転倒しやすかったとみられる。

メッキ作業は、2019年に産業安全保健法が全面改正された当時、『請負』が禁止されるほど有害な作業だ。下請業者に工程を委せる『危険の外注化』をせず、設備運営を行う事業主が工程を直接管理して安全を確保する、というのが法改正の趣旨だ。この法が2020年1月に施行され、社内下請業者に請け負わせていた現代製鉄は『無期契約職』の形で別途採用して、その工程を運営してきた。Aさんもこの時に無期契約職として入社したものと把握された。

雇用労働部と警察は、正確な事故経緯を調査中だ。労働部は事故の発生後、当該の工程の作業中止を命令し、産業安全保健法違反と重大災害法違反について調査している。現代製鉄は常時労働者数が1万人を超え、重大災害法が適用される。唐津警察署の捜査課長は、「Aさんが指針に従って勤務していたか、事故の危険性が高いポットの中に入った時、滑り止めのシートベルトなどはなかったのか、などを確認している」と話した。また「事故当時の現場のCCTV映像にはAさんしか見えない」とし、「会社側に二人一組で勤務をさせたかどうかを確認中」とした。

現代製鉄・唐津製鉄所内のメッキポットの様子/聯合ニュース

現代製鉄は、6年間、毎年死亡事故が発生している代表的な重大災害多発事業場で、昨年5月にも唐津製鉄所の熱延工場で労働者が死亡している。当時、労働部が唐津製鉄所と本社に対し、代表取締役の安全保健管理方針、安全保健管理体制と安全予算の適正性、本社の産業安全保健法遵守実態などを特別勤労監督し、これを受けて現代製鉄も「安全保健総括」組織を本部級で新設したところだ。

現代製鉄はこの日の立場表明で、「大切な人命が犠牲になったことに対して頭を下げ、深い哀悼の意を表する。」「今後、このような事故が再び発生しないよう、事故対策作りと安全点検を最優先に進めることを約束する」とした。

2022年3月2日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1033122.html