「安全フックをどこにでも掛けて、写真を撮って」建設現場はこうです 2022年1月20日 韓国の労災・安全衛生

光州広域市で新築中の現代アイパークマンションの外壁崩壊の様子。/聯合ニュース

「高い所で作業をしようとすると、転落防止用の安全フックを掛けられる場所が全くないことがありますが、下請け業者の所長は『とりあえず、どこにでも掛けて、写真を撮ってください』と言います」。内部報告用の写真なのに、そんなにして掛けたフックは簡単に外れるので、実際に墜落すると、体をまったく支えられません。」

27日の重大災害処罰法の施行を前に、建設現場の管理者による労働者への統制は強化されたが、実際の安全管理は不十分だという主張が出ている。民主労総は17日から2日間、土木建築・建設機械・タワークレーン・電気などの業務に従事する建設労働者、7573人にアンケート調査した結果を20日に発表した。民主労総は、重大災害処罰法の初日の工事を休む現場が16.9%に達すると指摘した後、建設会社は、労働災害の予防に努めるよりも、「1号の処罰は避けよう」という手段を採っていると主張した。

民主労総は、「建設現場での労働統制が強くなった」と説明する。建設労働者は「安全を名分にした建設現場の管理者による労働者監視・統制が厳しくなったか」という質問に、41.6%(3147人)が、「前より厳しくなった」と答えた。以前より深刻になったと答えた労働者が選んだ監視・統制の類型(重複回答)を見ると、「監視カメラ(CCTV)の設置による不必要な現場監視」(57.6%)が最も多く、「安全保護具・安全施設が不十分なのに、労働者だけに責任追及」(34.8%)、「指導よりも実績中心の安全点検」(27.8%)が続いた。

一方、安全問題改善のための労働者の参加は不十分だった。「労働安全問題への労働者の参加を保障しているか」という質問に、労働者の62%(4696人)が「保障していない」と答えた。安全教育については、10人中4人(42.1%)が「良くない」と回答し、「有害・危険物質などについての告知や教育を受けているか」という質問には、「受けたことがない」という回答が33.7%(2553人)に達した。ソウル建設支部楊州支会のコ・ジェウク組織部長は「建設現場で使われる有害・危険物質のうち、目に入ると失明するコンクリート剥離剤もあり、毒物もさまざまだ。安全教育を受ければ(担当者が)『皆さん、ご存知でしょう?』と訊いて聞き流すことが多い」とし、「労働者の意見聴取も、最近のような酷寒期には『手が震えるのでテントを設置して欲しい』と要求すると、『分かった』と言うだけで、それに続く措置も、フィードバックもない」と言う。

一方、労働者は、建設現場で労働災害が頻繁に発生する根本的な理由(重複回答)について、△不法多段階下請け(66.3%)、△速く速くの速度戦による工期短縮(63.3%)、△最低落札制による安全関連予算と人員の縮小(54.0%)、△信号手なし・安全施設措置の不備など、建設会社の安全管理監督の不備(37.0%)、△いい加減で理論的な安全教育(32.5%)などを挙げた。

建設労組は、現在国会で議論中の建設安全特別法が早期に成立されなければならないと主張した。建設労組は「建設現場は、安全管理責任は施工会社、監理会社などの複数の業者に分かれているため、責任転嫁が蔓延している」とし、「発注者、建設会社、監理に対する役割と責任を明示した建設安全特別法が、速やかに国会を通過しなければならない」と強調した。

2022年1月20日ハンギョレ新聞 シン・ダウン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1028144.html