筋骨格系疾患、ファースト・トラックに乗れるか 2022年01月04日 韓国の労災・安全衛生

筋骨格系疾患は、勤労福祉公団が労働災害と認める疾病の5割を占めるほど頻繁に発生する。雇用労働部が、労災承認まで平均121.4日掛かっている筋骨格系疾患の業務上疾病判定の速度を早めるため、推定の原則を適用する内容の告示を来月1日から施行することにした。しかし、使用者側が反発し、告示の改正は容易ではない状況だ。

労働界によると、先月31日、政府は「脳血管疾患または心臓疾患および筋骨格系疾病の業務上疾病を認めるかどうかの決定に必要な事項」の告示改正案を再度行政予告した。同月20日に行政予告をしたが、規制審査対象に決定され、手続きが複雑になった。規制審査の対象になった理由は、使用者側の反発だった。労働部は第一次行政予告の直後、経総の要求によって行政予告期間を4週間延長し、今月20日までに修正して告示している。

今回の告示案は実際新しい内容ではない。2019年から、勤労福祉公団は内部指針に基づいて、筋骨格系疾患の内の一部疾患には推定の原則を適用し、現場での災害調査を省略し、書類審査だけで業務上疾病判定委員会の審査を受けるようにした。例えば、10年以上建設現場で働いた溶接工が、頸椎間板脱出症(首椎間板ヘルニア)で労災を申請した場合、該当現場での災害調査をせず、直ちに業務上疾病判定委で審査を受ける。

労働部の今回の行政予告は、公団の指針を労働部告示に法制化し、推定の原則を適用する職種と疾患を一部拡大する内容だ。頸椎間板脱出症の場合、建設業では溶接・配管・型枠大工の他、電気・塗装などが追加された。

ところが財界は、「同じ職種でも、事業場別、労働者別に曝露頻度や強度が違うのに、一律に適用するのは妥当ではない」と主張する。経総のイム・ウテク産業安全保健本部長は「過去の労災認定のデータだけで職種別にアプローチする方式に問題があり」、「筋骨格系疾患の職種だと烙印を押せば、事業場では、勤労骨格系の有害要因を調査し、改善のプログラムを実施して予防しようとする意志を挫いてしまう」と懸念した。

筋骨格系疾患の承認率は昨年6月現在71%で、2017年の64.9%に比べて高くなった。しかし、労災処理の期間は、2017年の84.3日から、2020年の121.4日に37日も増え、労災労働者の負担が大きくなっている状況にある。労働界は「筋骨格系疾患の中でも、ファースト・トラックの対象疾患はわずか3%台(9925件中367件)に過ぎない。」「法定の基準さえ守ることができていない労災処理期間を短縮するためには、ファースト・トラックの対象を拡大するべきだ」という考え方だ。

2022年1月4日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

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