不安定雇用・小規模事業場の労働者『健康も悪い』 2021年12月8日 韓国の労災・安全衛生

雇用が不安定で小規模な事業場で働く労働者ほど、健康状態が悪い心配が大きいと分析された。産業安全保健制度を改善して、使用者に対する軽い処罰条項を改善して、安全事故の責任を強化するべきだという指摘だ。

不安定雇用労働者の情報の受恵率は53.6%

  韓国保健社会研究院が、このような内容を骨子とした『雇用形態と事業体の規模による労働者の健康不平等の現況と政策課題』報告書を発刊した。研究院は雇用形態、労働提供方式、労働時間といった、雇用条件に関する不安定要素を内包した雇用を、不安定雇用と定義して分析した。賃金労働者の中で、正規常用職を安全雇用職に分類した。

  その結果、機械の振動や騒音、高温・低温、煙、ガス、粉塵といった、物理的な有害要因に曝露したり長時間労働をする比率が、安定雇用と比較して不安定雇用に高く現れた。不安定雇用労働者の49.3%が物理的な有害因子に曝露し、15.2%は長時間労働に苦しめられていた。

  憂うつ感を感じる比率も不安定雇用労働者が高かった。11.8%で、安定雇用(7.1%)よりも4.7%ポイント高い。最近1年間で、2週間ほど日常生活が中断するほど悲しかったり、絶望感を感じた経験を持っている労働者の比率だ。

  仕事に関連した健康と安全危険要因の情報の受恵率は、安定雇用労働者が高かった。安定雇用労働者の情報受恵率は69.8%だった。不安定雇用労働者は53.6%に止まった。自ら「建康だ」と感じる主観的な健康レベルも、安定雇用労働者が高かった。79.6%が「建康だ」と答えた。不安定雇用労働者は62.1%だった。

『低賃金・長時間労働』が健康不平等の原因

  雇用形態による健康不平等は、労働市場の二重構造のためと指摘した。端的に、不安定雇用労働者は低賃金労働者である比率(62%)が高く、これらの雇用保険加入率(44.9%)は低調だ。『雇用が安定している』と感じる主観的な雇用安定性比率は、不安定雇用労働者は65.3%、安定雇用労働者は99.2%で、顕著な差がある。

  保健社会研究院健康政策研究センターのチョン・ヨン副研究委員は「OECD会員国の中でずっと高い順位を記録した国内重大災害発生率は、非正規職、下請け業者、小規模零細事業場の労働者に集中している。」「このような格差の相当部分は予防可能で、減らすことができるという点で、正当化し難い」と指摘した。

  危険の外注化が深刻だということだ。チョン・ヨン副研究委員は「労働環境と労働条件は、労働者が日常的に曝露する環境という点で、健康の重要な社会的な決定要因」だとし、「宅配物流センターとコールセンターで発生したコロナ19の集団感染、宅配労働者の相次いだ過労死は、コロナ19状況が強調するソーシャル・ディスタンスや、具合が悪ければ休むことが、あらゆる労働者に可能ではないということを如実に表わしている」と強調した。

「法令の適用は排除されたり留保」

  このような事例を一部だとして片付けるのも難しい。報告書によれば、2019年現在、国内の50人未満の小規模事業場は、全体事業場の98%に達する。そこに従事する労働者数は、全体労働者の63.8%だ。

  加えて、このうち労働関係法から完全に排除された5人未満の事業場は61.5%で、ここでの労働者数は19%に達する。チョン・ヨン副研究委員は「国内の労働権の保護政策が大企業を中心に拡張する過程で、小規模事業場は該当政策から例外対象と見なされたり、次順位に追い遣られた」と説明した。

  結果は悪循環だ。物理的な有害因子曝露比率と長時間労働比率を事業場規模で整理し直すと、5人未満の事業場の比率がそれぞれ50.2%と20.8%と最も高い。反対に健康と安全危険要因の情報受恵率は51.3%と最も低い。雇用労働部と安全保健公団の、2019年産災発生現況を再度分析した業務上事故発生率は115.2%で、60.2%の50人未満の事業場の二倍に達する。当然、自ら「建康だ」と感じる比率は最下位(60.5%)だ。

  制度はこのような現実を避けて行く。事業場の産業安全保健を労使が一緒に審議・議決するとした産業安全保健法上の産業安全保健委員会の構成も、50人未満の事業場には義務がない。「重大災害処罰などに関する法律」(重大災害処罰法)の適用も3年間猶予され、5人未満の事業場は最初から対象から外された。50人未満の事業場を対象に健康管理サービスを提供する勤労者健康センターも、労働者個人の相談・教育が中心で、作業場環境の改善機能は弱い。

  どうするべきか。チョン・ヨン副研究委員は「作業環境の問題と、健康ための要因を一番よく知っているのは現場労働者」で、「下請け業者の労働者のような、弱い立場の労働者が産業安全保健活動に参加して、意見を述べる通路を作るべきだ」と強調した。同時に、苦しむ労働者が産災保険のような普遍的な保障体系の恩恵を受けることができるようにして、勤労者健康センターの役割を強化すべきだと付け加えた。

2021年12月8日   毎日労働ニュース イジェ記者

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