国も会社も責任を取らない、思いもよらない死が未だに散らばっている 2021年12月6日 韓国の労災・安全衛生

金鎔均財団の金美叔代表が1日に財団事務室で<ハンギョレ>とインタビューしている。/写真ユン・ウンシク専任記者

1日にソウル、永登浦区の事務室で会った金鎔均(キム・ヨンギュン)財団の金美叔(キム・ミスク)代表は、息子が好きだったサムギョプサルを焼いた前日の夜の夢の話をした。「いつも子供が生きている夢ばかり見て、こうした夢を見るのはシンドイのですが・・・・。」現実もそうだ。「良かった思い出を訊かれれば話せるが、事故の以後は、良いことよりも、息子がどれくらい大変だったのだろうか、生きようと喚いたのだろうか、そんなに考えるともっとシンドイ」と言った。3年過ぎたが、キム代表は「鎔均がいないということに未だに実感がない」と話した。

10日は金美叔代表の息子の金鎔均さんが、韓国西部発電泰安火力発電所でベルトコンベヤーに挟まれて亡くなって3年になる日だ。しかし、息子の死に責任を問う裁判は一審も終わっていない。金美叔代表は業務上過失致死、産業安全保健法違反で起訴された韓国西部発電と韓国発電技術の関係者たちの裁判を毎回傍聴している。元請けは裁判で、「金鎔均がなぜ死んだのか分からない」「作業場は安全だった」と、疑惑を全面否認する戦略を採っている。金美叔代表はこのような元請けの態度に、『怒り』以外に表現する言葉がない。

金美叔代表は「息子の事件を経験して国の構造を知るようになり、その構造のせいで息子が死んだのだと考えた。」「罪は憎んでも人は憎むまいと考えたが、自分たちが働かせておいて、事故が起きると『CCTVも目撃者もおらず、なぜ死んだのか判らない』と言う、一片の良心も、責任もない姿勢を見て、とても口惜しかった」と言った。続けて「元請けは作業環境は安全だったと言うが、それならなぜ人が死んだだろうか。事故を防ぐことは会社がすべき仕事なのに、本人(金鎔均)の間違いで死んだと言うのが、とても非常識に思えた」と話した。

金美叔代表は、2019年の政府発表以後も遅れている発電の非正規職の正規職転換についても、「政府が早く解決に取り組むべきだ」と話した。公共部門の正規職化の過程で、正規職と非正規職労働者の間に起こっている葛藤についても、残念さを表わした。「正規職と非正規職を作って、人々を揉めさせている。」「同じ会社で、適切な待遇の違いがあるのは当然だが、非正規職は人間ではないように扱っていることが問題」と話した。「大統領候補が公共部門から民間企業まで、非正規職をなくすという公約をしてくれれば良いし、石炭火力発電所の閉鎖による雇用不安などの代案についても話すべきだと思う」と言った。

2019年10月26日に金鎔均財団を創立して以降、金美叔代表は気の休まることのない毎日を送った。息子の二周忌に際しては、重大災害処罰法の国会通過のために断食闘争をしたし、息子のような労働者と一緒に闘って重刑が求刑された非正規職労組の活動家キム・スオクとそのなかまのために、「彼らを閉じ込めるのなら、鎔均ママも閉じ込めなさい」と法廷で発言した。息子のような思いもよらない死に遭った産災被害者の遺族の手を握った。彼女は「未だ、国も会社も責任を取らない思いもよらない死が散らばってしているので、私のような遺族が闘えばもっと良くなるだろううと考えた。」「産災に対する国民的な認識が変わらなければ社会も変わることができない」と話した。

金鎔均の誕生日の6日から三周忌の追悼の日程が始まる。7日に泰安火力発電所の現場で追悼祭が開催され、9日には特別調査委員会の勧告事項履行点検報告会が行われる。命日の10日には、金鎔均が永眠している京畿道の牡丹公園での追悼祭と、ソウルでの『働いて死なないように、差別を受けないように』ロウソク行進が予定されている。

2021年12月6日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1022078.html