21人死傷、消化薬剤漏出事故、産安法の予防措置がなかったか 2021年10月24日 韓国の労災・安全衛生
ソウル市衿川区の知識産業センター新築工事現場で発生した二酸化炭素消化設備の漏出事故で、21人の死傷者が発生した。雇用労働部が産業安全保健法の下位法令によって、工事現場の事業主が消化設備の誤作動を予防する措置をしていたのかを検討していると話した。
雇用労働部の関係者は<ハンギョレ>との通話で、「この事件に最も近い法令が産業安全保健基準に関する規則628条なので、これを適用できるかを検討中」とし、「他の条項も幅広く調べている」と話した。
23日、ソウル市衿川区の加算メトロ知識産業センター新築工事の現場の地下で、火災鎮圧用の二酸化炭素が漏れ出し、2人が亡くなり、19人が負傷する事故が発生した。地下3階の消化ガス室の中にあった消化設備が破裂し、地下3階と地下4階で働いていた作業者が事故に遭ったと分かった。二酸化炭素が換気の良くない空間に多量に噴出すれば酸素欠乏の危険が大きくなり、窒息事故が発生する。事故当時、消化設備を作動させるスイッチは手動にされていたことが分かった。警察と消防当局、雇用労働部が詳しい事故原因を調査している。
産業安全保健法の下位法令の産業安全保健基準に関する規則628条は、地下室や機関室、船倉その他、通風が不充分な場所に消火器や消化設備を備えつけて炭酸ガス(二酸化炭素)を使う場合、△消火器や消化設備が簡単に転倒したり、取っ手が簡単に作動しないようにすること、△消化のための作動以外の任意の作動を禁止すること、△その内容を見やすい場所に掲示すること、を事業主の義務と定めている。事故が起きた建物に二酸化炭素消化設備を備えつけた事業主は、設備の誤作動を防止する措置をしなければならない。特に、消化設備の作動スイッチが手動になっていれば、事業主が産安法上の必要な消化設備の作動禁止措置をしていたかが争点になる。
地下3階の消化ガス室で破損した消化設備が配管を通って拡がったとすれば、同規則の636条を適用する余地もある。636条は『密閉空間の内部を通じる配管が設置されている地下室やピットなどの内部で労働者が作業をする場合』、その配管を通って酸素が欠乏した空気や有害ガスが漏れないように、事業主が措置をする義務がある。具体的には、酸素が欠乏した空気などを外部に直接送りだす設備を設置したり、適正な空気の状態を維持できる措置をしなければならない。
この外に同規則630条には、不活性気体を送りだす配管のバルブも、押しボタンなどを間違って操作して不活性気体が漏れないように、不活性気体の名称と操作方法に関する表示を掲示する義務もある。もし事業主がこのような措置を怠って二酸化炭素消化設備が破裂したとすれば、事業主の責任を問うことができる。
二酸化炭素消化設備の誤作動で作業者が窒息して亡くなる事故は、時々繰り返される。2015年に慶州のあるホテルのボイラー室で、作業者が断熱材の除去作業をしている間に二酸化炭素消化設備が誤作動し、酸素欠乏で1人が亡くなり、6名が負傷した。2018年にはソウルのある住宅・商店複合アパートの発電室で作業者が壁面作業をしている最中に二酸化炭素が漏れ出し、1人は意識不明に、1人は負傷した。同じ年にサムソン半導体の工場でも二酸化炭素消化設備の選択バルブが外れて、外の移動通路で資材を整理していた労働者2人が亡くなり、1名が負傷した。
2021年10月24日 ハンギョレ新聞 シン・ダウン記者