食べ物配達プラットホーム業者の産安法(労安法)違反をやっと点検 2021年10月19日 韓国の労災・安全衛生

信号待ち中の食べ物配達員/イ・ジョンア記者

昨年1月に改正された産業安全保健法(産安法)が施行され、配達従事者の産業災害予防のためのプラットホーム事業者の安全・保健措置が義務化され、雇用労働部が義務履行についての点検を始めた。国会の国政監査で「法を作って点検しない」という指摘を2年続けて受けて始まった『遅ればせ』の点検で、少なくとも数百はあると推定される食べ物配達代行業者の内、せいぜい28ヶ所しか点検しないということで論議が起きている。

労働部は「食べ物配達プラットホームを運営していると把握される全国28の業者に対して、11月までに産安法の義務履行を点検する」とした。産安法第78条は、携帯電話で物の回収・配達などを仲介する者は、その仲介によって二輪車で物件を回収・配達する者(配達技師)の産業災害予防のために必要な安全・保健措置をしなければならない。配達技師に安全運行に関する事項を定期的に案内する一方、産災を誘発するほどの配達を督促してはならない。また、配達技師を対象にした安全保健教育と保護具の着用指示などの義務も履行しなければならない。これとは別に、配達代行業は産安法上の特殊形態勤労従事者の『クィックサービス』業に該当するので、△二輪車の整備状態確認、△非正常稼動の二輪車への搭乗禁止指示、△保護具着用指示、△顧客の暴言対応指針の提供、△安全保健教育の実施、などの義務がある。

問題は、労働部が点検を行うとは言ったのが、28の業者に過ぎないということだ。食べ物配達プラットホームは大きく二つに区分される。先ず、食べ物配達のプラットホームを直接運営して、配達技師と配達業務の委・受託契約を結ぶ『統合型』がある。一方、プラットホームを運営する業者と地域別に配達技師を供給する業者(地域配達代行業者)が別に存在する『分離型』もある。分離型は、配達技師と直接に契約を結ぶ所が『プログラム社』ではなく、『地域配達代行業者』だ。プログラム社と一種の加盟契約を結ぶ地域配達代行業者は、配達産業の成長と共に、地域ごとに「雨後の筍」のように生れて、少なくとも百社を越えると予測されるが、正確な規模も把握されていない。

労働部が今回点検するといったところは、地域配達代行業者ではなく、『プログラム社』『統合型』配達プラットホーム業者だと確認された。産安法で配達技師に対する安全・保健措置の義務を履行すべき業者は、配達技師と直接契約を結ぶ地域配達代行業者と見るべきなのに、点検対象から抜けたのだ。労働部の関係者は「地域配達代行業者は規模が小さく、数も多くて、正確な現況把握ができなくなっている。」「今回の点検を通じて現況を把握した後、地域配達代行業者を対象にした点検も行う」と話した。

2021年10月19日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1015754.html