韓国大法院全員合議体「労働(産業)災害立証の責任は被害者にある」 2021年9月10日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/チョン・キフン記者

大法院が、業務と災害の間の因果関係を立証する責任は労働者にあると判示した。既存の判断がそのまま維持されたことで、証明責任を緩和すべきだという産業災害被害者の呼び掛けは、大法院の門の前で止まってしまった。

大法院の全員合議体は,死亡した労働者Aさんの両親が提起した遺族給付と葬祭料支給処分取り消し訴訟の上告審で、9対4で原告の上告を棄却し、原告敗訴とした原審を確定した。

この事件は業務上災害に対する証明責任の主体を争点として争われた。携帯電話の品質検査業務を行っていたAさんは、2014年4月19日に同僚の職員と約10分間、5kgのボックス80個を、一度に2~3個ずつ貨物車に載せた後、事務室に帰って突然倒れた。その後、病院で『剥離性大動脈瘤破裂による心臓タンポナーデ』と診断され、結局亡くなった。

Aさんの両親は同年7月、勤労福祉公団に遺族給付と葬祭料の支給を請求した。しかし、公団は死亡と業務の因果関係を否認し、不支給処分とした。Aさんの両親は「過労とストレスによる業務上災害」と主張して、2015年4月訴訟を提起した。

一審は原告勝訴としたが、控訴審は「業務と災害の間の相当因果関係に関しては、主張する側が証明しなければならない」として、一審の判決を逆転し、Aさんの両親の請求を棄却した。大法院も「業務と災害の因果関係の証明責任は勤労者側にある」として、上告を棄却した。多数意見の大法院の判事9人は「2007年の産業災害補償保険法改正以後も、証明の責任は業務上災害を主張する勤労者側にあると見るのが妥当で、既存の判例を維持すべきである」と判断した。大法院は2007年4月に、業務と疾病の因果関係に関しては、これを主張する側が立証すべきであると判示したことがある。

一方、判事4人は「業務上災害の要件の中で『相当因果関係の不存在』に関しては、相手方が証明すべきである」と反対意見を出した。「保険給付支給請求権の認定要件である『業務上災害』に関する証明責任に関しても、その文言によって分配することが一貫性がある」とし、「2007年の産業災害保険法の全部改正当時の立法者の意志は、業務上災害での相当因果関係に関する証明の責任を転換して、『相当因果関係がない』という事実を、相手方が証明するようにしようとするものだと見ることができる」と主張した。

2021年9月10日 毎日労働ニュース ホン・ジュンピョ記者

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