コロナ１９時代、『防疫と集会』の共存は不可能か　2021年8月13日 韓国の労災・安全衛生

コロナ19の流行が長期化して、防疫と基本権を調和させる方案を模索すべきだという主張が提起されている。政府がソーシャル・ディスタンスに代表される防疫指針を前面に出して集会を事実上原則封鎖しているのは、憲法が保障する集会とデモの権利を侵害するだけでなく、科学的な根拠もないという声が力を増している。

昨年、集会禁止が487倍に増加

コロナ19時代の集会は「感染病の予防および管理に関する法律」(感染病予防法)と、「集会および示威に関する法律」(集示法)によって制限されている。先ず、地方自治団体長が感染病予防法49条1項2号によって集会禁止の行政命令を出す。主催者側が集会を強行すれば、警察は集示法5条1項2号を適用して、集会禁止を通告する。このような集会禁止措置は、ソウル市が昨年2月の光化門広場とソウル広場などの都心で集会を禁止したのを皮切りに、全国に拡大した。

公権力監視対応チームが12日に発表した『コロナ19と集会・デモの権利』報告書を見ると、昨年警察の集会禁止通告は4380件で、2019年の9件に比べて487倍に増加した。昨年の集会開催回数は7万7453件で、2019年の9万5266件から18.7%減少した。

地方自治体と警察が集会禁止を通告した場合、裁判所の執行停止の決定が事実上唯一の救済手段だ。ハン・ヒ弁護士が昨年の5月から今年3月までの、集会禁止通告に対する裁判所の執行停止決定30件ほどを分析した。感染病予防法が自治体長に包括的な処分権限を与えているとして執行停止申請を棄却したケースを始めとして、△ソーシャル･ディスタンス三段階の時に集会を全面禁止したり、△集会用の物品を非対面で受け取るようにするといった、達成しにくい条件を付けて集会を制限する事例が多数確認された。

国会は昨年、光復節の「愛の第一教会」の集会以後、いわゆる『チョン・グァンフン防止法(註)』と呼ばれる感染病予防法の改正案と集示法改正案を続けて発議した。これらの法案は、集会禁止違反に対する処罰の水準を高めて、集会を全面制限する内容を含んでいる。ハン・ヒ弁護士は「国会が、防疫と集会の自由との間の調和のとれた解決方案を考えることなく、集会基本権の侵害を容認した」と指摘した。

(註)政府の疫学調査、感染症の予防と防疫措置等を、団体や多数の威力によって組織的・計画的に妨害した場合、その罪に対して定めた刑の2分の1まで加重できるようにした。

室外集会は本当に危険か

政府がすべきことは集会を禁止ことではなく、集会を安全に行われるように措置することだという主張が出ている。人権運動広場のチョン・ロク活動家は「コロナ19の防疫措置で最も重要な人権の原則は、防疫を理由に市民の日常と基本権を制限するのでなく、安全な日常と基本権の行使が可能な方向を探るために努力すること」とし、「防疫措置と基本権はゼロ・サム関係ではなく、安全な集会が可能なように、防疫当局は必要な義務を果たさなければならない」と指摘した。民主社会のための弁護士会のリュ・ハギョン弁護士は、民主労総で行われた討論会で「集会を無条件に禁止するのではなく、集会の主催者側も同意できる社会的な基準を設定するべきだ。」「防疫を口実に、政府に批判的な声を源泉封鎖してはいけない」と強調した。

コロナ19の伝播に最も大きな影響を及ぼす要因は、密閉された室内活動という研究結果も、集会の自由を保障すべきだという主張を後押しする。市民健康研究所が昨年1月から今年3月までのコロナ19の感染経路を分析した結果、事業場(6.1%)、宗教施設(5.9%)、医療機関(4.7%)、家族・知人の集り(3.2%)、療養施設(2.5%)が主な感染経路だと把握された。

世界保健機構(WHO)は、コロナ19の拡散を防止するために、△密集した場所、△密接な環境(特に、人が非常に近い道路で互いに対話する場所)、△換気が不十分な密閉されて閉じられた場所を避けるように勧告している。5月のニューヨークタイムズは、コロナ19の感染経路を分析した論文を引用して、野外活動時のコロナ19感染は、感染全体の1%未満または、0.1%未満と推定されると報道した。保健医療団体連合のウ・ソッキュン共同代表は「マスクを着用して距離を置くことを守れば、コロナ19感染の危険性をはるかに減らすことができる」とし、「屋外の集会を無条件に禁止したり、過度に制限する措置は、科学的が根拠がないか希薄だ」と説明した。

2021年8月13日　毎日労働ニュース　シン・フン記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=204407