『新型コロナワクチン接種後の副反応とみられる急性散在性脳骨髄炎(ADEM)による四肢麻痺』40代の看護補助者に初めての労災認定 2021年8月9日 韓国の労災・安全衛生
コロナ19ワクチンを接種した後、四肢麻痺症状が現れた40代の看護補助者に、勤労福祉公団が産業災害(労働災害)と認定されるという判断を行った。コロナ19ワクチン接種の後に現れた疾病に業務関連性を認めたのは、今回が初めてだ。
勤労福祉公団は3月にアストラゼネカ(AZ)ワクチンを接種した後、四肢麻痺症状が現れて、免疫疾患の一種である『急性播種性脳脊髄炎※』と診断された看護補助者・Aさんに、業務上疾病判定委員会(判定委)の審議を経て、産業災害と認定すると明らかにした。判定委は勤労福祉公団の審議機構で、請求人の疾病と業務の間に関連性があるかを決める。
判定委は4日、感染内科と職業環境医学の専門家、法律家など7人で構成された審議会議を行い、Aさんの業務上疾病認定の可否を審議した結果、看護補助者であるAさんが△ワクチン優先接種対象に該当し、事業場の積極的な案内に従った点、△接種が業務時間と認定された点、△接種しない場合、業務の遂行が難しい点などを見る時、業務と関連した接種という事実が認められると判断した。Aさんは京畿道のある病院で働き、保健医療人材優先接種対象者として接種を受けた。
判定委はまた、Aさんにワクチンの副反応を誘発するほどの基礎疾患や遺伝疾患がなく、接種と副反応の間に時間的関連性が認められるという点を挙げて、業務の他に疾病に影響を及ぼす要因はなかったものと見た。更に「疾病管理庁はコロナ19ワクチンの副反応として(該当の疾病に対する)先例がなかったり、資料が充分でないと判断したが、このような事項が産災の認定において因果関係を否定する根拠になるには不充分だ」と明らかにした。ワクチン接種による疾病ということが明確に確認されなくても、業務と関連した疾病という判断は出せるということだ。
先に、コロナ19予防接種対応推進団は世界保健機構(WHO)の副反応分類5項目(①因果性が明白な場合、②因果性に蓋然性がある場合、③因果性に可能性がある場合、④因果性が認められにくい場合、⑤明確に因果性がない場合)の内、Aさんの事例は④に該当すると見た。但し、新しく開発されたワクチンに関しては依然として知られていない領域が多い点を考慮して、④の項目を『資料が不充分で判断が難しい場合』(④-1)と『ワクチンより他の理由による可能性の方がより高い場合』(④-2)に細かく分類し、新設した④-1に最大1千万ウォンの医療費を支援することにした。これは因果性を認めることも排除しにくい『グレーゾーン』を設定するもので、疾病管理庁の予防接種被害補償専門委員会はAさんの事例を結局、④-1に該当すると判定した。
勤労福祉公団のカン・スンヒ理事長は、「コロナ19予防ワクチン接種の後に発生する副反応だけでなく、今後新しく発生し得る業務上疾病の申請に対しても、客観的で公正な調査と判定で被災労働者を保護する」と明らかにした。
2021年8月6日 ハンギョレ新聞 シン・ダウン記者
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1006707.html
※急性播種性(散在性)脳脊髄炎(Acute disseminated encephalomyelitis ( ADEM ))とは、
「ウイルス感染後やワクチン接種後に生じるアレルギー性の脱髄疾患である。・・・・(Wikipedia)」
「1. 急性散在性脳脊髄炎とは
原因がはっきりしない場合も多いですが、ウイルス感染後あるいはワクチン接種後などに生じる脳や脊髄、視神経の疾病です。免疫力が強くなりすぎて逆に自分自身の体を攻撃する自己免疫という現象が起きていると考えられています。神経線維を覆っている髄(ずい)鞘(しょう)が破壊される脱髄という現象が起きる疾患です。
ワクチン接種後の場合は1 〜4週間以内に発生することが多く、発熱、頭痛、意識が混濁する、目が見えにくい、手足が動きにくい、歩きにくい、感覚が鈍いなどの症状がある場合にはこの疾病の可能性があります。
重い後遺症を残す場合も多く、死亡率も高い疾患です。特にワクチン接種後の場合は他の場合に比較してその後の経過が悪い傾向があります。
髄液検査や MRI にて診断がつく場合が多いのですが、検査所見に異常が認められない場合もあります。その場合には症状の経過や神経所見のみでとりあえずの診断をしますが、別の疾病の可能性も慎重に検討する必要があります。・・・(重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性散在性脳脊髄炎 平成23年3月 厚生労働省)」
韓国、コロナワクチン接種で麻痺症状の准看護師に労災認定(ロイター:yahooニュース2021年8月6日)
日本の場合:厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」問10「労働者が新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を受けたことで健康被害が生じた場合、労災保険給付の対象となりますか。」