23年目の溶接工、マンガン中毒によるパーキンソン病で労災認定  2021年5月28日 韓国の労災・安全衛生

溶接工として23年働いて、パーキンソン病に罹ったKBオートテクの労働者が、業務上疾病と認められたことが確認された。

金属労組・忠南支部のKBオートテク支会と労務法人「チャムト(真の場)」忠清支社によれば、勤労福祉公団天安支社は、業務上疾病判定委員会への判定依頼を省略して、Aさんに療養承認を決定した。疫学調査によって、疾病の業務関連性が相当だと見られる科学的な根拠があれば、疾病判定委の手続きを省略することができる。

AさんはKBオートテクの前身・万都機械の平澤・牙山工場の時期の1991年から、続けて溶接作業をしてきた。2018年に特発性パーキンソン病と診断された彼は、2019年初めに公団の天安支社に療養申込書を提出した。パーキンソン病は脳神経細胞の損傷で、手・腕にけいれんが起こり、歩行が難しくなる疾病だ。『特発性』パーキンソン病は、原因が不明なことを意味する。

キム・ミンホ公認労務士は、Aさんは溶接作業の過程で「マンガン・有機溶剤に持続的・複合的に曝露したと判断される。」「特発性パーキンソン病と診断されたが、正確な鑑別方法が存在しない状況で、『マンガンによる二次パーキソン症候群』ではないと、簡単に決めつけてはいけない」と主張した。

産業安全保健研究院は疫学調査の結果、これを認めた。産業安全保健研究院は「1999年下半期の『作業環境測定結果報告書』で、マンガンの濃度が立方メートル当たり0.19~0.24mgであったことを考慮すれば、マンガンに持続的に曝露し、そのレベルは曝露基準の48%(0.24mg)程度で高かった」とし、「マンガンによる神経毒性は0.14~0.3mgでも発症する可能性があるということを考慮すれば、1999年以前のマンガン曝露レベルは、神経毒性を発症するのに十分に高かった」と分析した。溶接作業中に目の前がよく見えず、作業を一時中断するほど換気が良くなかったという同僚の陳述も、このような決定に影響を与えた。

パーキンソン病の場合、潜伏期(神経細胞の退化が始まって、臨床的な診断されるまで)が10~20年と言われるほど長く、労働者が業務上疾病を立証することは容易ではない。しかし、支会が1999年の『作業環境測定結果報告書』を保存していたおかげで、当時の作業環境の有害性を立証することができた。2000年以後はマンガンの曝露レベルは高くなく、それ以前の資料の存在の有無が重要な状況だった。

労務法人「チャムト」は「パーキンソン病は平均的に約10年から、長くて20年以上の長い潜伏期を経た後にはじめて発症するという点で、今後、追加の被害者が出てくる可能性を排除できない」とし、「以前に万都機械に勤務した者をはじめ、溶接ヒュームと有機溶剤への曝露業種と職種に対しての、実態把握と対策作りが必要だ」とした。

一方で、以前に万都機械の平澤・牙山工場で働き、現在は他の場所で働いている作業者の中からも、パーキンソン病が発病した事例があると伝えられた。

2021年5月28日 毎日労働ニュース カン・イェスル記者

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