重大災害処罰法施行令制定を前に労働部に注がれる視線 2021年5月14日 韓国の労災・安全衛生

文在寅大統領が13日午後、故イ・ソノさんの葬儀室を訪問した。/大統領府

重大災害処罰などに関する法律(重大災害処罰法)制定にも拘わらず、最近、平澤港と現代重工業、現代製鉄で相次いで産業災害死亡事故が発生し、文在寅大統領を始めとして、政界が一斉に産災死亡事故を減らす実質的な対策作りを要求した。政府が準備中の重大災害処罰法施行令にも、法制定の趣旨がキチンと反映されなければならないという声が、与野党いずれからも出ている。

大統領「国家施設で起きた事故に非常対処」

文在寅大統領は13日午後、平澤に設えられた故イ・ソノさんの葬儀室を訪ねて弔問し、遺族を慰めた。平澤港で働いた青年下請け労働者のイ・ソノさんは、先月22日、300kgのコンテナの下敷きになって亡くなった。

大統領は「国の施設の中で起きた事故なのに、事前に安全管理が足りなかっただけでなく、事後の措置でも不十分な点が多かった。」「労働者が安全の心配なく暮らせる国を作ると約束したのに、申し訳ない」と話した。更に「今回の事故を契機に産業安全をもう一度点検して、安全な国を作るように努力する」と付け加えた。

大統領は今回のイ・ソノさんをはじめとする続いた労働者の死亡事故に、強い声を出している。11日の閣僚会議では「後進的な産災事故のせいで胸が痛い」として、雇用労働部長官に、関係部署とチームを構成して強い対策を作ることを指示した。

この日午前の内部の会議では「今回の事故が平澤港という公共の領域で発生した事故であるだけに、労働部だけでなく、海洋水産部などの関連部署と機関が非常対処をして、安全対策を作りなさい」と指示した。その後にイ・ソノさんの葬儀室を訪問して、再度明らかなシグナルを出したわけだ。

与党、17日に労災予防点検チームを発足、国民の力、平澤港の現場を点検

大統領は大統領選挙の公約として産災死亡事故を半分にすると言ったが、履行は足踏み状態だ。先月だけでも64人が亡くなった。国会・環境労働委員会のカン・ウンミ正義党議員が、この日発表した4月重大災害分析結果を見ると、66件の災害が発生し、死亡者64人、負傷者21人が発生した。死亡者64人の内、25人が下請け労働者で、7人は移住労働者だ。

建設業が34ヶ所(52%)で半分を越え、製造業19ヶ所(29%)、その他業種13ヶ所の順だった。墜落24件(36%)、挟まれ17件(26%)、ぶつかり6件(9%)、衝突5件(8%)、敷かれる3件(6%)だった。大統領が言う「後進的な産災事故」そのままだ。

政界の動きも慌ただしい。共に民主党はソン・ヨンギル代表など指導部が、12日に平澤港で現場最高委員会を行い、事故現場を直接見て、再発防止と対策作りを約束した。今月17日には、キム・ヨンベ最高委員を団長とする労災予防点検チームを発足する予定だ。

国会・環境労働委員会所属の「国民の力」の議員は、この日午後、平澤港を訪問して事故現場を直接点検し、これを基に再発防止対策を作るとした。国民の力は「来年施行される重大災害処罰法施行令を、立法趣旨に合うように正しく制定する方針」と話した。

財界は相変らず「重大災害処罰法施行令の緩和」

産災死亡事故が続いて発生し、重大災害処罰法が再び注目されている。共に民主党のイ・タンヒ議員はこの日、『罰金刑の下限』と『量刑特例条項』を新設する重大災害処罰法の改正案を発議した。イ議員は、「会社と経営責任者が安全規制に違反した時、規制を守るために掛かる費用よりも高い罰金を賦課しなければ、産災死亡事故を抑制できない」と強調した。

政府が準備中の施行令については、法制定の趣旨に合うように正しく準備すべきだという声が、与野党のすべてで高い。経総など6つの経済団体は先月13日、経営責任者の定義規定、経営責任者の義務緩和、元請けの責任範囲の制限などを施行令に盛り込むという意見を政府に提出した。

国民の力のイム・イジャ議員は、「財界が要求する施行令の緩和に(同意する)積もりはない。」「企業オーナーの意志と認識が変わらなければならない以上、根本的に検討すべきだ」と話した。カン・ウンミ議員は、「来年1月の施行を前に提起される、重大災害処罰法制定の趣旨を色褪せさせる主張には、労働部と政府が強く対処する必要がある」と主張した。

2021年5月14日 毎日労働ニュース ヨン・ユンジョン記者

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