『職場内パワハラ禁止法』は改正されたがフリーランサー・下請けなどの死角地帯は依然 2021年3月25日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/キム・チョルス記者

『職場内パワハラ禁止法』(改正勤労基準法)に処罰条項が新設されるなどの改正がされた。しかし、勤労基準法の適用を受けない5人未満の事業場など、依然として該当法の保護を受けられない死角地帯があると指摘される。

自動車代理店でフリーランサーとして働くAさんは、代理店の所長から「誰と会っているのか確認書を出せ」などの酷い指示をされたり、「君のせいで車が売れない」、「君とは働きたくない」など、人格冒とく的な発言まで聞くパワハラに遭っている。

Aさんが代理店の所長から受けているのは典型的な職場内パワハラだが、改正された職場内パワハラ禁止法でもAさんが保護されることはない。フリーランサー、特殊雇用職は勤労基準法の適用を受けないからだ。

市民団体『職場の甲質119』が、改正された『職場内パワハラ禁止法』に関して、「処罰条項の新設には意味はあるが、5人未満の事業場と間接雇用労働者などは保護を受けられず、依然として中途半端な法だ」と評価した。

更に、「『職場内パワハラ禁止法』の適用範囲は、使用者と直接の勤労契約を締結した正規職、契約職、臨時職などの労働者だけ」で、「元請け職員の下請け業者へのパワハラ、マンション入居者の警備員へのパワハラ、ゴルフ場の正規職キャプのいじめで自殺したキャディーのような特殊雇用職とフリーランサー労働者、勤労基準法が適用されない5人未満の事業場などは、この法では保護されない」と指摘した。

職場の甲質119は、法の保護を受けられない5人未満の事業場・間接雇用・特殊雇用・プラットホーム労働者を700万~1千万人と推定し、「政府が施行令を改正して5人未満の事業場にも適用し、間接雇用、特殊雇用職、フリーランサー、プラットホーム労働者が法の保護を受けられる方案を準備すべきだ」と要求した。

これについて、職場の甲質119代表のクォン・トゥソプ弁護士は「元請けのパワハラ、入居者のパワハラ、特殊雇用労働者への適用、4人以下の事業場など、職場内パワハラ禁止条項が適用されない部分に対する法改正も、早急にされることを期待する」と話した。

国会本会議場/ニューシス

しかし、処罰条項がないために実効性がないと指摘された『職場内パワハラ禁止法』に、処罰条項を新設したことには意味があると評価した。

職場の甲質119は、「調査・措置義務に秘密維持条項が入ったことと、調査・措置義務の不履行時に、500万ウォン以下の過怠金ではあれ、処罰条項が新設されたことは、法の実効性を高めるのに寄与するだろう」とした。

また、職場内パワハラの加害者が使用者や使用者の親戚の場合、1千万ウォン以下の過怠金が賦課されるなどの処罰条項が新設されたことにも、「職場のパワハラは、加害者が使用者や病院長の夫人、社会福祉施設院長の息子など、加害者の家族や親戚が加害者のケースが多い」とし、「不十分だが意味のある改正」と評価した。

『職場内パワハラ禁止法』の適用を受けられないケースについても、産業安全保健法の改正で、制限的であれ保護される法的な根拠が作られたことについても評価した。

「現行法は、顧客と応対する勤労者が、顧客の暴言などから適切な保護措置を受けられるように規定しているが、その適用対象を、『業務に関して顧客など第三者の暴言などに曝されるおそれがあるすべての勤労者』に拡大した」とし、「コールセンターの労働者だけでなく、マンション住民のパワハラに遭う警備員、元請けの職員のパワハラに遭う下請け業者の労働者などに、産安法が適用できるようになった」と説明した。

前日、国会の本会議は、職場でいじめが発生した時に、使用者の調査義務を具体化し、調査過程で判った内容の漏洩を禁止する『秘密維持』条項と同時に、これを守らない時の過怠金の賦課など、処罰条項を新設した『職場内パワハラ禁止法』改正案を通過させた。

2021年3月25日 民衆の声 キム・バッキョン記者 

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