発注者が安全費用を負担し、元請けが施設を設置しなければ 2021年3月25日 韓国の労災・安全衛生

『仕事で死なないように、差別を受けないように! 二次ロウソク行進準備委員会』と『ムン・ジュンウォン烈士2・22希望バス企画団』が昨年2月12日、光化門広場で行われた記者会見で、産業災害で死亡した労働者の死亡理由が書かれた遺影のプラカードを掲げた。/キム・ヘユン記者

政府が、墜落と挟まれ産業災害がしばしば発生する建設業と製造業の元請けに、強い予防責任を付与する。また、産災事故が繰り返される事業場に集中監督を行い、小規模事業場の安全保健管理体系の構築も点検・支援する。

政府は25日、関係部署合同で、このような内容の『2021産災死亡事故減少対策』を発表した。これは文在寅政府が「2022年までに産災死亡事故を半分に減らす」とした国政課題の一環だ。昨年の産災事故の死亡者数は882人で、来年までの課題として掲げた505人には達し得ない状態だ。

政府は先ず、建設業と製造業で発生する、挟まれ・墜落死に対する予防の支援・監督などを重点的に強化することにした。最近5年間の産災事故死亡者の中で、建設業と製造業が74.1%にもなった。建設業では墜落事故が56.7%、製造業では墜落・挟まれ事故が48.8%を占める。

政府は、先ず100億ウォン以上の大規模建設現場、約8000ヶ所に、本社中心の責任管理が定着するように指導・監督する。これは各企業が提出した有害危険防止計画書などの審査・履行の確認によって行われる。また、最近のテヨン建設の事例のように、2年連続して死亡事故が発生した後に、再び死亡事故が発生した事業場に対しては、政府が建設会社の本社と、所属の全国の事業場を同時に監督するなど、特別に管理する。

政府は、『工期短縮』によって労働者が危険に遭わないように、発注者に適正な工事期間・費用を提供し、小規模工事も安全管理費を計上できるようにする。発注者は、手摺りなどの安全施設の設置費用を工事費に反映するようにし、元請けが直接安全施設を設置するように義務化する方案も検討する。また、このような内容の建設安全特別法の制定も推進する。

製造業の場合、政府が企業に、挟まれ予防の自律点検を実施するようにし、点検結果を提出しなかったり、技術指導の内容を履行しない場合は監督をすることにした。また、挟まれ事故の危険がある機械・機構の修理・点検の業務を請け負いさせた場合、元請けに、混在作業(色々な作業がある空間で同時に行われ、産災の危険が高まること)の有無を確認する義務を付与する。また、産災予防のために下請け企業の間の作業日程を調整する責任も、元請けに課すことにした。

死亡事故が多発しているのに、重大災害処罰などに関する法律(重大災害法)の適用が猶予され、『産災死角地帯』論議があった小規模事業場に対する対策も出された。1月に国会を通過した重大災害法は、50人未満の事業場への適用を3年間猶予した。政府は建設の産災死亡事故の25%を占める1億未満の超小規模建設現場の15万ヶ所に対して、技術支援と財政支援を拡大することにした。また、プレスなど、挟まれ事故の危険がある機械を保有する100人未満の事業場に対しても、専門担当監督官を指定するなど、集中管理をする。50人未満の小規模事業場には、3271億ウォンを投入して、危険な機械の交換と作業工程環境の改善費用を支援する。

同時に政府は、化学物質に関連する産災事故に関しても、△事業場の規模、△事故発生履歴と危険物質取り扱いのレベルなど、重点管理事業場を選定して管理監督する。有害化学物質の取り扱い施設を対象に、老朽化したり危険な施設には改善命令を出すとした。また、伐木・太陽光設備施工作業、配達従事者の二輪車の運転など、最近死亡事故が増えている作業に対して、安定装置の開発・安全情報の共有などを推進する。更に、産災死亡の縮小のために、地域の自治体の団体・民間の技術指導機関と共働して、企業が重大災害法に適合した安全保健管理体系を構築できるように、指導・点検を継続する計画だ。

イ・ジェガプ雇用労働部長官は、「関係部署合同で準備した今回の対策が、現場で実際に作動するかを持続的に点検する計画」とし、「今回の対策が、企業の安全意識と慣行の変化に進み、死亡事故の確実な縮小に繫がるように最善を尽くす」と話した。

2021年3月25日 ハンギョレ新聞 パク・ジュンヨン記者

http://www.hani.co.kr/arti/society/labor/988181.html