政府案より後退した重大災害法の処罰水準・・・・「納得できない」 2021年1月6日 韓国の労災・安全衛生
国会の法案議論の過程で、重大災害企業処罰法(重大災害法)の処罰水準が、既に示された発議案に加えて、批判を買った政府案よりも更に後退していることに、労働界と市民社会、産業災害の遺族などが強く反発している。
国会と労働界の話を総合すれば、前日、国会・法制司法委員会の法案審査小委では、重大産災で労働者が死亡した場合、企業責任者に対する処罰の水準を、『1年以上の懲役または10億ウォン以下の罰金』とすることで、与野党が暫定合意したことが判った。『2年以上の懲役または5千万ウォン以上10億ウォン以下の罰金』だった政府案よりも後退している。もっと高い水準の処罰を規定した、共に民主党のパク・チュミン、正義党のカン・ウンミ議員の案と較べても、大幅に緩和された。与野党はまた、労働者が死亡した場合、法人に『50億ウォン以下の罰金』、労働者が負傷したり疾病に罹った場合『10億ウォン以下の罰金』を払わせることで暫定合意した。政府案とパク・チュミン、カン・ウンミ案と違い、罰金の下限をなくすことによって両罰条項を下げた。また、損害賠償額も『最大5倍』に限定した。
先ず、与野党の暫定合意の条項で、企業責任者に対する懲役刑の下限が1年に下げられたことによって、裁判での実効性がなくなると指摘される。クォン・ヨングク弁護士は懲役刑について、「傷害致死罪、ミンシク法(交通事故で亡くなった9歳のキム・ミンシク君の名を冠した「道路交通法、特定犯罪加重処罰などに関する法律」)などで、下限刑を3年にしても、裁判官の裁量である『酌量減軽』によって更に下げることができる。それでも重大災害法で下限刑を1年に下げるのは、極めて消極的な立法」と指摘した。法人・事業主に対する罰金刑の下限がなくなったことも同じだ。クォン弁護士は「産業安全保健法改正の時、罰金刑の上限を上げたのに、(宣告される)罰金刑は何百万ウォンの水準に止まっている。」「罰金刑で下限を考えなかったということは、法によって産災死亡者をキチンと救済しないという意志ではないか」と指摘した。国会の前で完全な重大災害法の制定を求めて断食を続けている産業災害遺族たちも、国会の決定に失望感を明らかにした。国会本庁前で27日目の断食座り込みを続けている故イ・ハンビッ・ディレクターの父親のイ・ヨングァンさんは「企業責任者の懲役刑の下限刑を高めるべきであった。このようにしても、司法府が刑量を低く判決するのが、残念だ。」「経営者が責任を負う処罰条項も、最高経営者が外されて、安全の理事が処罰を受けることに決められるようで心配だ。このような条項は、後で改正しても入れるのは簡単ではないから、外してはいけない」と話した。国会正門前で10日目の断食座り込み中の故キム・ジェスンさんの父親のキム・ソニャンさんは、「罰金刑の下限をなくせば、あってもなくても良い法になる。労働者がまた、そのように死ななければならないということか。まったく納得がいかない」と話した。
民主労総はこの日声明を出して、「議論すればするほど後退する政府と国会の法案に、怒りと憂慮を表明せざるを得ない。」「我々が下限刑の導入を主張したのは、検察と裁判所の軽い処罰のためだ。処罰の上限が高くても、労働者が死んだ事業場に、500万ウォン未満の罰金が賦課されているのが今の現実だ」と指摘した。
2021年1月6日 ハンギョレ新聞 パク・ジュンヨン記者