忠南・泰安火力で死亡事故、 入札時に公告の安全措置が未実施 2020年9月11日/韓国の労災・安全衛生

10日、忠南の泰安火力発電所1埠頭で、貨物車に載せた装備の下敷になって、下請け労働者が亡くなった。当時貨物車から転がり落ちた装備の様子。/雇用労働部提供

9月10日、泰安火力発電所で、貨物車に載せたコンベヤースクリューの下敷きになって、下請け労働者のAさん(65)が亡くなる事故が発生した。

元請け韓国西部発電の入札公告文で指摘された安全措置がきちんと行われていなかった事実が確認された。また、作業現場では4社に所属する労働者が共同で仕事をしていたことが明らかになった。泰安火力発電所の非正規職労働者・金鎔均さんの死は多段階下請け構造が原因だったという指摘がされたが、現場は大きく変わっていないのだ。また、Aさんが事故の後、かなりの時間意識があったのに、病院への移送が遅れて亡くなったという主張も提起された。

Aさんは10日午前、泰安火力1埠頭で、自分の貨物車に2トンのコンベヤースクリュー5個を載せ、一人でロープで固定している時、突然ロープが解けてコンベヤースクリューの下敷きになった。

西部発電は、発電用の石炭を運搬するコンベヤースクリューが故障したため、S工業という外部業者に修理を依頼し、S工業はスクリューの運搬を貨物車の持ち込み車主のAさんに依頼した。特殊雇用労働者のAさんは、形式上は個人事業主としてS工業と契約を結んだ。

現場には西部発電とS工業の関係者以外にも、スクリューをリフト車を使って貨物車に載せる作業はZ産業開発が担当した。一つの現場に元請け、下請け業者など4業者に所属する労働者がいた。

このように複雑な下請け構造が、誰も安全責任を負わない「空白」を産む原因だと指摘される。民主労総・公共輸送労組は、「スクリューを貨物車に載せるのに、3社の労働者と特殊雇用職の貨物労働者が共同作業をするような理由があるのか?」「複雑な雇用構造は責任と権限の空白を作り出し、結局、労働者が命を失う惨劇が起きてしまった」と主張した。

西部発電はAさん個人に事故の責任を転嫁しようとしているという疑惑を買っている。会社が事故直後に作成した『安全事故速報』には、『帰責:本人』と書かれている。

社団法人金鎔均財団は、「金鎔均さんが、するなと言った仕事をしたために事故が起きたという西部発電が、今回も個人の責任に転嫁している」と批判した。これに対し西部発電は「運転者本人が作業をしていて事故が発生した状況なので、帰責を『本人』と書いたが、帰責の有無は今後の関係機関の調査結果によって最終確定する」と釈明した。

金鎔均特調委の勧告案に指摘された、命を救う『ゴールデンタイム』を逸したという指摘も出た。公共輸送労組によれば、Aさんは初めに泰安医療院に移送された時は意識があったが、状態が危篤になって、ドクターヘリで檀国大病院に移送された後、1時間過ぎて亡くなった。檀国大病院に到着した時間は午前11時20分で、事故発生から1時間30分を過ぎてやっと正しい処置が始まったことになる。金鎔均特調委は「常駐労働者が1000人以上の発電所には付属医院を設置し、職業環境医学専門医を配置し、発電会社と協力会社の産業保健の役割を果たすように」勧告していた。

2020年9月11日 京鄕新聞 チョン・テヨン、チェ・スンヒョン記者

http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=202009112011001&code=940702