使用者の組合活動妨害によるストレスで適応障害に労災認定 2020年9月8日/韓国の労災・安全衛生
労組会議の盗聴・懲戒解雇・・・・2年以上治療
2020年9月7日、韓国・勤労福祉公団は、金属労組大邱支部ジョンウ精密のA分会長の適応障害に、業務上疾病判定委の審議を経て、労災(産災)と認定した。
A分会長は、ジョンウ精密に2017年1月に複数労組が結成された後、分会に対する使用者の不当労働行為が多数発生し、これに関連した各種の訴訟を続ける過程でストレスが悪化したと主張した。
使用者の分会会議の盗聴疑惑事件が代表的だ。分会は「使用者の管理者が、当時、企業労組だったジョンウ精密の第一労組の教育室にあるホワイトボード拭きの中に、録音装置を隠して、分会の定期総会と組合員総会などを盗聴しているのが発見された」という疑惑を提起した。大邱地裁は2月に、ジョンウ精密の中間管理者一人とジョンウ精密の第一労組の幹部二人に執行猶予付きの有罪を宣告した。
A分会長は、2018年12月に懲戒解雇されたことに関する行政訴訟も闘っている。A分会長が2018年5月に、適応障害を理由に休職を申し込んだが、使用者は承認しなかった。A分会長が出社しないので、使用者は命令に応じないという理由で懲戒解雇した。A分会長は不当解雇救済の申請をしたが、地労委と中労委は使用者の手を挙げた。この他にもA分会長は「勤労時間免除適用に関しても労使間の紛争が発生するなど、色々な訴訟事件と複数労組との葛藤で業務上ストレスが悪化し、2018年5月から現在まで2年以上治療中」と話した。
公団は「会社が複数労組になった以後、会社側の持続的な労組活動への妨害行為があ」り、「これによるストレスで適応障害が発症したと判断され、適応障害と業務との相当因果関係が認められる」とした。
「不当解雇が不認定でも労災を認定」には意味がある
事件を担当したクォン・ドンヒ公認労務士は「労使間のあらゆる争点について争いがある状況」とし、「不当労働行為が正当か不当かは労災の有無とは関連ない、という大法院の判例を受けて、労災を認めた判定」と評価した。2010年、大法院はLG電子の労働者が提起した療養不承認処分取り消し申請で「会社の各人事権の行使が正当だという結論が出たとしても、それが業務上災害認定の可否に直接的な影響を与えるものではない」と判示した。
クォン労務士は「一般的に、精神疾患や自殺事件に関する労災事件の審議で、会社は労働者に対する人事発令や懲戒が、労働委員会や法院で正当性を認められたという理由で、労働者の精神疾患が業務と関連がないという主張をする」が、「人事権の正当・不当性と労災法上の業務上災害の法理は、その性格を異にする」とした。
2020年9月8日 毎日労働ニュース チェ・ナヨン記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=166431