韓国・国家人権委員会「職場内いじめの死角地帯を補完する立法」勧告/いじめ行為者「誰であれ」への範囲の拡大、罰則導入など 2020.07.10/韓国の労災・安全衛生

国家人権委員会が雇用労働部長官に、職場内いじめ禁止を内容とする勤労基準法を改正するように勧告した。

人権委は「IT業者の代表と大企業の総師家族の暴言、マンションの警備労働者の自殺など、職場内いじめ事件が持続的に発生している」とし、「職場内いじめは、労働者の身体的・精神的な健康を阻害し、人間としての尊厳性を傷つける深刻な人権侵害」であるにも拘わらず、「勤労基準法には保護の死角地帯があり、いじめ行為者処罰規定がなく、実効性に限界がある」と批判した。

昨年7月16日に改正・施行した勤労基準法は、職場内での使用者や労働者によるいじめを禁止している。しかし、第三者によるいじめや、4人以下の事業場には適用されない。人権委は「改正勤基法は、顧客や消費者、マンション入居者、元請け業者の関係者、会社代表者の家族・親戚など、使用者と直・間接的に関連して、影響力を行使できる第三者による外部的ないじめは規律していない」と指摘した。

人権委は「第三者によるいじめの予防と被害労働者を保護するために、いじめ行為者の範囲を『誰であれ』に拡大するなど、適切な規定を用意するように」勧告した。

4人以下の事業場に対するいじめ禁止の適用も急がれると強調した。人権委は「規模が小さい事業場であるほど、加害者と被害者の間の接触が頻繁で、いじめ問題はより一層深刻で、保護の必要性が高い」とし、「勤基法施行令7条(勤基法の適用範囲)の別表1を改正して、4人以下の事業場にも拡大せよ」と注文した。

この他に、職場内いじめ禁止規範の実効性を確保するために、いじめ行為者の処罰規定と、調査・措置義務に違反した事業主を制裁できるような規定を用意するように勧告した。職場内いじめの予防教育を事業主の法律上の義務として明文化するようにとも指摘した。

人権委は「職場内いじめに関連する規定の導入から1年を迎えているが、未だに職場内いじめが韓国社会全般に蔓延している。」「人間としての労働者の尊厳性が毀損される問題が黙過されることがないように、早急な法・制度の補完を期待する」と強調した。

2020年7月10日 毎日労働ニュース ヨン・ユンジョン記者