「重大災害企業処罰法」運動本部が発足:遺族・市民社会「21代国会で必ず制定」 /韓国2020年5月27日

労働災害共和国を変えるために

国会の開院を前に、重大災害の遺族と市民社会団体が『重大企業処罰法制定運動本部』を発足させた。

運動本部は27日、民主労総の大会議室で発足記者会見を行い、「市民、労働者、産災と災難・惨事の遺族が力を合わせて、21代国会では重大災害企業処罰法を必ず制定させる」と明らかにした。

記者会見には、カン・ウンミ(正義党)国会議員当選者も参加して「20代国会で、故ノ・フェチャン議員が重大災害企業処罰法を発議したが、ただの一度も扱われなかった。その間に、利川物流倉庫で発生した重大災害で38人の労働者が死亡し、今でも持続的に多くの労働者が死んでいる」とし、「今21代国会ではこの法律を制定しなければならない。正義党も積極的に努力する」と話した。

コロナ19の世界的流行で全世界が混乱している中、韓国は成功的な防疫で注目された。しかし、職場での安全は正反対だ。韓国はOECD会員国の内、産業災害死亡率で不動の1位を走る『産業災害共和国』と呼ばれる。毎年2千人を越える労働者が、不安全な職場で働いて亡くなっている。2019年も2020人が産業災害で亡くなった。毎日5~6人の労働者が職場で命を失っているということだ。

今年発生した重大事故も1、2件ではない。先月29日、利川物流倉庫のハンエクスプレスの新築現場で火災が発生して38人の労働者が命を失い、10人が重軽傷を負った。13日、江原道サムチヨク三陟のセメント工場で、一人で仕事をしていた下請け労働者が、ベルトコンベヤーに挟まれて亡くなっているのが同僚の労働者によって発見された。22日、クヮンジユ光州の廃木材処理業者の朝鮮ウッドでも、青年労働者が破砕機に吸い込まれて死亡する重大災害が発生した。

運動本部の共同代表になったキム・ヨンギュン財団のキム・ミスク理事長は、2018年末に泰安火力発電所で仕事をしていて亡くなった息子の下請け非正規職、故キム・ヨンギュン労働者について、「警察の調査で、高位官僚すべてに厳しい処罰がされるように望んだが、下請けの末端の職員だけに疑惑を適用して検察に送検した状態だ」と話した。更に、「(企業が危険な業務を外注化する理由は、事故が発生した時の)責任を回避でき、国が与える税金減免の恩恵に加えて、社会的なイメージまで上手く取り繕うため」として、「企業にこのような利益があるのに、どの会社が危険な仕事の外注化を拒むか」と指摘した。

キム理事長は「多くの遺族を集めることに努力している。サムソン白血病、大邱地下鉄、世越号、ハンエクスプレス、そして私をはじめとする犠牲者の遺族と被害者のすべてが願うのは、正しく行われる真相究明と、管理・監督の手抜きに対する責任を問うことで」、「元・下請けの管理者に対する厳しい処罰が後押ししなければならない」と話した。更に「私たち遺族は、重大災害企業処罰法が制定されるように強く押し進める」と強調した。
パクソグン朴錫運運動本部共同代表は「最近の何年間かで、産業災害事故が発生して刑事処罰された企業体の罰金の平均が400万ウォンだと言われる。」「これだから、企業の立場からは罰金出してしまうだろう。お金が多くかかって、生産性も落ちる安全措置はしないという、悪魔的な誘惑にはまり込む」と指摘した。続けて「これは構造的な問題であり、制度的な問題だ」と主張した。
また「(我が国の産災死亡率の12分の1の)イギリスの場合、2007年に企業殺人法が制定された。そうすると、死亡率が半分に落ちた」として、「我が国でも、産災死亡事故が発生すれば、経営責任者が処罰され、企業が揺らぐほどの損害賠償をしなければならないようにすれば、問題を解決することができる」と話した。

発足記者会見にはステラデイジー号の遺族も参加した。ホ・ギョンジュさんは「企業を殺せば国が滅びるそうだ。しかし、このように企業を見ていたら、私の弟は家に帰れなくなった。」「ステラデイジー号の惨事の以後も、船会社所属の船の事故情報が続いた。重大災害発生企業で再び重大災害が起きる確率が90%を越えるという。安全を費用だと認識するためで、処罰がとても軽いせいだ。1年に1500億ウォンを儲けるポラリスシッピング社に対する罰金も、せいぜい1500万ウォンとされた。これではまったく企業に対する制裁にはなっていない」と指摘した。
運動本部は法律家による法律チームを構成して、重大災害企業処罰法の改正案を準備している。

チェ・ジョンハク民主主義法学研究会々長は「20代国会に(故ノ・フェチャン正義党議員が)発議した法案を、もう少し補完する形で新しい法案を作っている」と明らかにした。「以前にも重大災害企業に対する処罰がなかった訳ではない。しかし非常に微弱で、ほとんど処罰にはならなかったと言っても間違いではない。」「そこで、より一層強く処罰できる方法を構想している。企業の意志決定に影響を及ぼす者をすべて処罰することと、職場の安全を管理・監督している公務員までを処罰する内容を含んでいる」と説明した。


2020年5月27日 民衆の声 イ・スンフン記者