新型コロナ労災対応/より幅広く、柔軟に、具体的に!韓国参考に

新型コロナウイルス感染症の労災保険対応に関して、新たに二つの情報が明らかになった。
ひとつは、厚生労働省労働基準局補償課長が4月23日付けで発した事務連絡「新型コロナウイルス感染症の労災保険給付に関する相談又は問い合わせがあった場合の適切な対応について」。「感染経路が特定できないことをもって直ちに保険給付の対象とならない旨説明する」よう指示したものである。
阿部知子衆議院議員事務所を通じて入手したものだが、立憲民主党の厚労部会で「相談窓口で不適切な対応があった」という指摘がなされ、それをうけて発出されたものだとのこと。
もし、4月24日付けの毎日新聞記事で紹介された、「厚生労働省は…感染ルートを厳格に特定できなくても業務中に感染したとみられる事例を含めて認める方針を固めた」ということの具体的対応がこの事務連絡だけだったとしたら、誇大広告も甚だしい。「幅広く、柔軟に解釈」する方針をあらためて具体的に示すべきである。
もうひとつは福島みずほ参議院議員の照会に対する4月24日付けの厚生労働省労働基準局補償課の回答
これまでの労災請求件数が3件だということが確認されるとともに、いずれも調査中で結論が出されていないことが初めて確認された。
2009年の新型インフルエンザによる労災補償状況が把握されていないことは、なかば予想していたことではあるが、放っておけば今回もそうなってしまうかもしれない。
「事業主証明を受けられない事情がある場合には、当該事情について監督署にお伝えいただければ、事業主証明がなくても、請求書を受付」るということは、われわれは当然承知している、例えば、証明を求めたのに事業主が協力してくれなかった場合などである。
今回私たちが緊急要請で求めているのは、韓国の対応のように、事情のいかんに関わらず請求を受け付けることを明示・周知して、請求を促すべきだと言うことである。
緊急要請に示したような対応を迅速に採用するよう、あらためて求めたい。
今回の新たな情報の入手に対して、東京労働安全衛生センターに感謝したい。

古谷杉郎
全国労働安全衛生センター連絡会議 事務局長