改正安衛法施行に関係した政省令の公布/個人事業者等、特定機械、代替化学名通知等関係 改正安衛法2026年4月1日施行分関係省令

2025年の労働安全衛生法等の改正については、2025年1・2月号と3月号でそのもととなった労働政策審議会の建議と改正法案要綱、同年7月号で労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の施行通達(基発0514第1号)と国会での附帯決議を紹介した。

また、2026年4月1日から施行される内容に関連して、ガイドラインから法律に基づく指針に格上げされた「高年齢者の労働災害防止のための指針」及び「治療と就業の両立支援指針」等について、前月号で紹介した。


2026年4月1日から施行される内容に関係した省令が1月20日付けで公布された-厚生労働省令第3号「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の一部の施行に伴い、及び関係法令の規定に基づき、並びに関係法令を実施するため、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令」である。これによって、以下の21省令が改正された。
①じん肺法施行規則、②労働安全衛生規則、③ボイラー及び圧力容器安全規則、④クレーン等安全規則、⑤ゴンドラ安全規則、⑥有機溶剤中毒予防規則、⑦鉛中毒予防規則、⑧四アルキル鉛中毒予防規則、⑨特定化学物質等障害予防規則、⑩高気圧作業安全衛生規則、⑪電離放射線障害防止規則、⑫酸素欠乏症等防止規則、⑬労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令、⑭機械等検定規則、⑮作業環境測定法施行規則、⑯粉じん障害防止規則、⑰労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令、⑱港湾労働法施行規則、⑲石綿障害予防規則、⑳東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則、㉑有機溶剤中毒予防規則等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第44号)、㉒労働安全衛生規則及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和7年厚生労働省令第120号)
本稿執筆時点で、施行通達を厚生労働省ホームページ上で確認することができないが、おつて「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/an-eihou/index_00001.html)等に掲載されるかもしれない。
整備省令自体297頁もあり、本号では、2025年11月25日第179回安全衛生分科会に提出及び了承された「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令案要綱」を紹介しておこう。

第1 労働安全衛生規則の一部改正

1 個人事業者等に係る規定の改正

(1) 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)により、連絡調整等の対象が「労働者」から「作業従事者」に拡大されたことを踏まえ、「関係請負人の労働者」とあるのを、「関係請負人に係る作業従事者」と改めること。
(2) 改正法により、機械等貸与者が機械等を「個人事業者」に貸与した場合についても措置義務の対象とされたことを踏まえ、「他の事業者に貸与するとき」とあるのを、「事業を行う者に貸与するとき」と改めること。
(3) 改正法により、建築物貸与者が建築物を「個人事業者」に貸与した場合についても措置義務の対象とされたことを踏まえ、「貸与を受けた事業者」とあるのを、「貸与を受けた事業を行う者」と改めること。
(4) 改正法により、「事業を行う者が行う仕事の作業に従事する者」として、「作業従事者」が労働安全衛生法(以下「法」という。)上新たに位置付けられたことを踏まえ、「作業に従事する者」とあるのを、「作業従事者」と改めること。
(5) 改正法により、労働者以外の作業従事者が労働者と同一の場所において仕事の作業を行う場合に、保護又は規制の対象とされたことを踏まえ、特定の作業場において、危険が発生するおそれのある箇所に、労働者以外の作業従事者が当該場所に立ち入ることを禁止する措置等について、その場面を明確化すること。
(6) 改正法により、「請負人」等について、事業主体と作業主体を明確に書き分けたことを踏まえ、作業主体を指す「請負人」を「請負人に係る作業従事者」に改めること。
(7) 建築物貸与者は、貸与する建築物のうち、貸与を受けた二以上の事業を行う者に専ら使用させる部分以外の部分(以下「共用部分」という。)において、次の各号に掲げる労働災害防止に必要な措遣を講ずること。
イ 高さが2メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により事業を行う者の労働者(以下この(7)において単に「労働者」という。)に危険を及ぼすおそれのある箇所には、囲い、手すり、覆い等(以下「囲い等」という。)を設けなければならないものとすること。ただし、囲い等を設けることが著しく困難なときは、防網の設備を設け、立入区域を設定する等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならないものとすること。
ロ 高さ又は深さが1.5メートルを超える箇所には、労働者が安全に昇降するための設備等を設けなければならないものとすること。ただし、安全に昇降するための設備等を設けることが建築物の構造や当該建築物において行われることが想定される事業の性質上著しく困難な場合であって、防網の設備を設け、立入区域を設定する等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じたときは、この限りではないものとすること。
ハ 通路については、用途に応じた幅を有し、通路面は、つまずき、すべり、踏抜等の危険のない状態に保持した上で、通路面から高さ1.8メートル以内に障害物を置かないものとすること。
ニ ハに定める通路には、正常の通行を妨げない程度に、採光又は照明の方法を講じなければならないものとすること。ただし、事業を行う者に対し、労働者が常時通行の用に供しない地下室等で通行する場合、適当な照明具を所持する必要がある旨を周知したときは、この限りではないものとすること。

2 代替化学名等に係る規定の改正

(1) 法第57条の2第1項に規定する通知対象物を譲渡し、又は提供する場合に相手方に通知しなければならない事項に、改正法による改正後の法第57条の2第3項及び第6項の規定に基づき代替化学名等の通知を行う場合の通知対象物を譲渡し、又は提供する者の緊急連絡先を追加すること。
(2) 改正法による改正後の法第57条の2第3項の厚生労働省令で定める化学物質は、リスクアセスメント及びその結果に基づく措置の実施に支障を生じないものとして厚生労働大臣が定めるものとすること。
(3) 改正法による改正後の法第57条の2第3項の厚生労働省令で定める事項は、代替化学名等により通知しようとする成分に関する同条第1項第4号の情報(以下「代替有害性情報」という。)とすること。ただし、代替有害性情報を通知することをもって法第57条の2第1項第2号に規定する当該成分の情報の通知に代えることができるのは、当該代替化学名に該当する構造を有する(2)に規定する化学物質の種類が少ない等の理由により、代替化学名による通知では当該成分の情報が特定されるおそれが高い場合に限るものとすること。
(4) 改正法による改正後の法第57条の2第4項に規定する代替化学名等通知者は、代替化学名等を通知したときは、次の事項について記録し、これを5年間保存しなければならないこと。
イ 当該特定通知対象物に関する成分
ロ 通知した代替化学名等
ハ 製品の名称
ニ 製品に含有されている全成分の名称及び含有量
(5) 代替化学名等通知者は、(4)の保存期間中に事業を廃止しようとするときは、遅滞なく、電子メールの送信又は電磁的記録媒体をもって調製するファイルの提出により、(4)の記録を、当該代替化学名等通知者の事業湯の所在地を管轄する労働基準監督箸長に引き渡すものとすること。ただし、当該方法による提出が著しく困難な場合は、書面により引き渡すことができること。
(6) 法第57条の2第5項の厚生労働省令で定める行為は、次に掲げるものとすること。
イ 医師による診断、治療
ロ 産業医又は法第13条の2第1項に規定する医師による労働者の健康管理
(7) 代替化学名等通知者は、法第57条の2第5項の規定に基づき、(6)イに掲げる行為のために、代替化学名等により通知した成分の情報について開示を求められた場合には、当該情報を直ちに当該医師に環示しなければならないものとすること。
(8) 代替化学名等通知者l士、法第57条の2第5項の規定に基づき、(6)ロに掲げる行為のために、代替化学名等により通知した成分の情報について書面又は電磁的記録により開示を求められた場合には、その目的に必要な範囲において、当該成分の情報に係る秘密が保全されることを前提として、当該情報を速やかに開示しなければならないものとすること。

3 改正法による改正後の法第57条の2第8項に規定する代替化学名等の通知の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針等の公表については、インターネットの利用その他の適切な方法により公示するものとすること。

4 その他所要の改正を行うこと。

第2 ボイラー及び圧力容器安全規則の一部改正

1 ボイラー及び第一種圧力容器(以下「ボイラー等」という。)を製造しようとする者が、都道府県労働局長に製造許可を申請する際、登録設計審査等機関のうち当該ボイラー等を製造しようとする者の事業場の所在地を含む地域の区分の登録があるものが行った設計審査の結果を記載した書類等を添付するものとすること。ただし、所轄都道府県労働局長が、ボイラー等の設計について、設計審査の業務の全部又は一部を自ら行う場合においては、強度計算その他設計審査に必要な事項を記載した書面等を添えるものとすること。

2 登録設計審査等機関が行う設計審査を受けようとする者は、ボイラー等の設計審査申請書にボイラー等の構造を示す図面及びボイラー等の強度計算その他設計審査に必要な事項を記載した書面を添えて、登録設計審査等機関に提出しなければならないものとすること。

3 登録設計審査等機関は、2の申請に基づき行った設計審査の結果を記載したボイラー等の設計審査結果証明書を申請者に交付するものとすること。

4 ボイラー等について、設計審査を行った登録設計審査等機関において構造検査を受けなければならないものとすること。ただし、当該登録設計審査等機関の検査を受けることができないときは、他の登録設計審査等機関の検査を受けることができるものとすること。

5 ボイラー等の溶接検査(圧縮応力以外の応力を生じない部分のみが溶接による第一種圧力容器を除く。)について、4に準じた改正を行うこと。

6 移動式ボイラー及び移動式第一種圧力容器(以下「移動式ボイラー等」という。)を設置している者は、検査証を滅失し、又は損傷したときは、検査証再交付申請書に書面を添えて、当該検査証を交付した者に提出し、その再交付を受け、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に届け出て、事業場の所在地、名称、種類及び有効期間その他必要な事項について記載を受けなければならないところ、都道府県労働局長又は業務を廃止(登録の取消し及び登録の失効を含む。)した登録設計審査等機関が交付した移動式ボイラー等の検査証を滅失し文は損傷したときは、移動式ボイラー等を設置している者は、検査証再交付申請書に書面を添えて、所轄労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出し、再交付を受けなければならないものとすること。

7 所轄労働基準監督署長は、6の場合において、都道府県労働局長が再交付した検査証に、事業場の所在地、名称、種類及び有効期間その他必要な事項について記載し、移動式ボイラー等を設置している者に対し、与えるものとすること。

8 所轄労働基準監督署長は、7の場合等において、登録性能検査機関からの報告等に基づき、有効期間その他必要な事項を記載するものとすること。

9 その他所要の改正を行うこと。

第3 クレーン等安全規則の一部改正

1 クレーン、移動式クレーン、デリック、エレベーター及び建設用リフト(以下「クレーン等」という。)について、第2の1から3までに準じた改正を行うこと。

2 移動式クレーンについて、設計審査を行った登録設計審査等機関において製造検査を受けなければならないものとすること。ただし、当該登録設計審査等機関の検査を受けることができないときは、他の登録設計審査等機関の検査を受けることができ、登録設計審査等機関がない場合等には都道府県労働局長が検査を行うものとすること。

3 登録設計審査等機関は、製造検査に合格した移動式クレーンについて、申請者に移動式クレーン合格証を交付するものとすること。

4 移動式クレーンについて、第2の6及び7に準じた改正を行うこと。

5 クレーン等に係る検査証の再交付申請を受けた場合について、第2の8に準じた改正を行うこと。

6 第1の1(4)及び(5)に準じた改正を行うこと。

7 その他所要の改正を行うこと。

第4 ゴンドラ安全規則の一部改正

1 ゴンドラについて、第2の1から4まで及び6から8まで並びに第3の3に準じた改正を行うこと。

2 その他所要の改正を行うこと。

第5 労働安全衛生法及びこれに基づく命令に係る登録及び指定に関する省令の一部改正

1 登録設計審査等機関の登録を行う際の厚生労働省令に定める地域の区分を、北海道、東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、中医四題、九州、本邦の全ての地域及び本邦以外の地域とすること。

2 移動式クレーン又はゴンドラ(以下「移動式クレーン等」という。)の製造時等検査を実施するに当たり、次の事項を行うものとすること。

イ 強風、大雨、大雪等の悪天候のため、当該検査の実施について危険が予想されるときは、当該検査を行わないこと。
ロ 移動式クレーン等の各部分の構造及び機能について点検を行うに当たり、移動式クレーン等が不意に起動することによる労働者の墜落、挟まれ等の危険を防止するため、当該移動式クレーン等の運転を禁止するとともに、当該移動式クレーン等の操作部分に運転を禁止する旨の表示をするものとすること。
ハ 移動式クレーン等の構造部材その他荷重を受ける部分に著しい損傷等が認められ、荷重試験等の実施について危険が予想されるときは、当該試験を行わないものとすること。
ニ 荷重試験等の実施に当たり、ジブ等が当該試験を行う場所に隣接する家屋、公道等に危険を及ぼすおそれのある場合には、当該試験を行わないものとすること。
ホ 荷重試験等の実施に当たり、当該試験を続行することによる危険が予想されるときは、当該試験を中止するものとすること。

3 移動式クレーンの製造時等検査を実施するに当たり、地殻が軟弱であること、埋設物その他地下に存する工作物が損壊するおそれがあること等により当該移動式クレーンが転倒するおそれのある場所においては、当該検査を行わないものとすること。ただし、当該場所において、移動式クレーンの転倒を防止するために必要な広さ及び強度を有する鉄板等が敷設され、その上に当該移動式クレーンを設置しているときは、この限りでないものとすること。

4 登録設計審査等機関の業務規程において、設計審査の結果を記載した書類の交付に関する事項等を定めるものとすること。

5 登録設計審査等機関は、検査証を再交付したときは、速やかに、検査証再交付報告書を検査証に係る特定機械等の設置の場所を管轄する労働基準監督署長に提出しなければならないものとすること。

6 登録設計審査等機関は、設計審査等を行った設計審査等対象機械等について、必要事項を記載した帳簿を備え、移動式の特定機械等の製造時等検査に係るものは記載の日から登録に係る業務の廃止(登録の取消し及び失効を含む。)に至るまで、移動式の特定機械等を除く機械等の製造時等検査に係るもの及び全ての機械等の設計審査に係るものは、記載の日から3年間保存しなければならないものとすること。

7 登録設計審査等機関の登録時等の公表方法について、第1の3に準じた改正を行うこと。

8 登録衛生工学衛生管理者講習機関等が氏名、所在地等を変更しようとする場合の届出について、変更しようとする日の2週間前までに届け出なければならないこととされているが、変更の日から2週間以内に行わなければならないものとすること。

9 その他所要の改正を行うこと。

第6 石綿障害予防規則の一部改正

1 第1の1(1)、(3)、(4)、(5)及び(7)に準じた改正を行うこと。

2 その他所要の改正を行うこと。

第7 次に掲げる省令について、第1の1(4)及び(5)に準じた改正を行うこと。

1 有機溶剤中毒予防規則
2 鉛中毒予防規則
3 四アルキル鉛中毒予防規則
4 特定化学物質障害予防規則
5 高気圧作業安全衛生規郎
6 電離放射線障害防止規則
7 酸素欠乏症等防止規則
8 粉じん障害防止規則
9 東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を徐染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則

第8 次に掲げる省令について、第1の3に準じた改正を行うこと。

1 じん肺法施行規則
2 機械等検定規則
3 作業環境測定法施行規則

第9 施行期日等

1 この省令は、令和8年4月1日から施行すること。
2 この省令の施行の際に必要な準備行為及び経過措置を設けるものとすること。
3 その他所要の改正を行うこと。

安全センター情報2026年5月号