ITUC-AP第3回アスベスト地域会議の声明/ITUC-AP,.2025.12.9-10

われわれ、ITUC-AP[国際労働組合総連合アジア太平洋地域組織]は、加盟組織及びパートナー組織とともに、2025年12月9日から10日にかけて、マレーシア・クアラルンプールにおいて開催されたITUC-AP第3回アスベスト地域会議に参集した。
健康で安全な職場は基本的人権であり労働者の権利であることを再確認し、労働組合として、ディーセント・ワークの不可欠な要素として安全で健康的な労働環境を確保するための行動を継続することを表明する。
われわれは、国際労働機関(ILO)のアスベストに関する決議(2006年6月、第95回国際労働会議で採択)を支持することをあらためて表明する。同決議は、アスベスト使用の安全に関するILO条約(C162)が、クリソタイル・アスベストを含むアスベストの継続的使用を正当化するものではないことを確認したものである。われわれは、労働者が、採掘、生産から廃棄及び廃棄物管理に至るまでのライフサイクル全体を通じて、クリソタイル・アスベストを含むアスベストに曝露されていることに留意する。
現在、世界全体で消費される130万トンのアスベストのうち80%以上がアジアで使用されており、職業がん全体の70%がアスベスト曝露に起因している(WHO 2024)という現状をわれわれは憂慮している。世界中で毎年211,000人の労働者が、とりわけ肺がん、石綿肺、中皮腫などの疾患によりアスベストへの職業曝露が原因で死亡している事実を強く非難する。より安全な代替製品が存在するにもかかわらず、数百万人の労働者(その大半が現在アジア太平洋地域の途上国に存在する)がアスベストに曝露され続け、不必要な死亡や深刻な健康被害が生じていることに深い懸念を抱いている。アスベスト曝露のパターンの変化により、今後数十年でアジアがアスベスト関連疾患(ARDs)の新たな中心地となる見通しであることに怒りを覚える。
世界保健機関(WHO)が、クリソタイル・アスベストの使用を根絶することが、労働者をアスベスト曝露から保護し、将来のアスベスト関連疾患(ARDs)及び死亡を防ぐもっとも効果的な手段であると助言していることに留意し、この致死性繊維の「安全な使用」に関するアスベスト産業の主張が無効であることを確認する。
少数の締約国によるクリソタイル・アスベストのロッテルダム条約への搭載を20年間にわたり阻止してきたことを遺憾に思う。これは、条約の化学物質審査委員会によるクリソタイル・アスベストの搭載勧告や、この間を通じて締約国の90%以上が搭載を支持してきたにもかかわらず行われたものである。
われわれは、労働者、公衆衛生、環境を犠牲にして、商業的利益を保護・促進するため、ロッテルダム条約を積極的に妨害し、その手続を操作し、健康擁護者を威嚇し、政府を欺こうとするアスベスト生産者・取引業者を非難する。
当地域におけるアスベスト規制と禁止に関する最近の進展を歓迎する。労働組合やNGOの支援のもと、カンボジア及びマレーシア両政府がアスベストの輸入・使用完全禁止計画を発表したこと、アジア開発銀行が2026年1月以降の新規投資案件におけるアスベスト含有材料(ACM)使用禁止方針を策定したこと、 インドネシア最高裁が建設分野におけるアスベスト含有資材への健康警告表示を義務づける判決を下したこと、そして、地域内の14か国が安全な代替品への移行に向けて協力することで合意したこと[訳注:IPEF]などである。
この機運を捉え、あらゆる形態のアスベスト及びアスベスト含有物質の使用を国内及び世界的に排除する取り組みを加速させ、すべての労働者、その家族、そして地域社会の健康と安全を確保すべき時である。
加盟組織と支援団体が優先的に取り組むべき具体的な行動は以下のとおりである。

  1. 労働組合主導の地域アスベスト行動ネットワークを構築し、キャンペーンと情報共有を通じて、アスベストを輸入し続ける国々に対し安全な材料への緊急移行を要求するとともに、建築環境に残存するアスベスト材料への労働者の曝露を防ぐこと
  2. アスベスト関連疾患の労働者及びその他の被害者に対する診断の改善と公正な補償を求めるキャンペーンを展開すること
  3. 労働者と政策決定者に対し、クリソタイル・アスベスト及びその他すべてのアスベストの種類への曝露がもたらす致命的な健康影響に関する独立した証拠を普及させること
  4. アジア太平洋地域で依然としてこの致命的な物質を使用している国々において、規制の遅延を図るためのアスベスト産業の法的・威圧的・虚偽情報戦術を非難すること
  5. より広範な組織化戦略の一環として、労働安全衛生問題に関する公衆の意識向上を継続的に推進すること
  6. 労働者をアスベスト関連疾患から保護するため、建築環境におけるアスベストの移行・禁止・残存アスベスト管理の問題を、ASEANやSAARCなどの地域フォーラムで取り上げるよう求めること
  7. 国際金融機関(IFIs)に対し、すべてのプロジェクトにおいてアスベスト使用の禁止と強固な安全対策を実施するよう働きかけること

アスベストを依然として使用しているアジア太平洋地域の各国政府に対する具体的な優先行動。
われわれは各国政府に対して、以下のことを要求する。

  1. ADB及びすでにすべての種類のアスベストを禁止した世界72か国に緊急に追随し、曝露及びアスベスト関連疾患を阻止するもっとも効果的な手段はクリソタイルを含むすべての種類のアスベストの使用を可能な限り早期に中止することであるというWHO及びILOの明確な勧告に従うこと
  2. ILO条約C162及びC155を批准するとともに、アスベスト使用の段階的廃止に向け、労働者及び地域社会におけるアスベスト繊維曝露リスク低減のための即時措置を講じ、アスベスト廃棄物の安全な除去・処分システムを構築すること
  3. 2027年のCOP13[第13回締約国会議]において、ロッテルダム条約の化学物質リスト搭載手続の改革を支援し、同条約の化学物質リスト掲載システムに対する企業の支配を阻止するとともに、クリソタイル・アスベストなど長年掲載が阻まれてきた勧告済み化学物質の搭載を要求すること
  4. アスベストを使用しない代替品への公正な移行を確保し、この移行過程を通じて労働者の生計が保護されることを保証すること、及び
  5. 地域フォーラムにおいてこの問題を緊急課題として提起すること

https://ibasecretariat.org/ituc-ap-3rd-regional-conference-on-asbestos-statement.pdf

安全センター情報2026年1・2月号