現代自動車蔚山工場の「チェンバー」はどんなところ・・・「とんでもない事故」/韓国の労災・安全衛生2024年11月20日
現代自動車蔚山工場で19日に、車のテストをしていた研究員3人が死亡する事故が発生してから一日が過ぎたが、現代自動車は事故当時に安全装置が作動したかどうかも把握できていない。
今回の事故は「チェンバー」で室内走行テストをしていたところ、排気ガスが外部に排出されずに発生したものと推定されるが、自動車専門家と業界は異例の事故と見ている。
チェンバーは密閉された空間や部屋を意味する。産業分野では製品と材料テストの時に使われる空間を意味する。自動車はもちろん、半導体や製薬・バイオ、航空・宇宙産業など、様々な分野で製品や設備の耐久性などを評価するのに利用される。
自動車業界では、チェンバー内部の温度を摂氏40度から氷点下30度まで、目的に応じて調節したり、湿度・振動・高度などを変えて、様々な条件で車両の性能を確認する。特に、ローラーに車を乗せて固定した後、その場で走行させ、排気ガスがきちんと排出されるかを重要に点検する。
一つのチェンバーで一台の自動車をテストするが、今回事故が発生したチェンバーは、現代自動車のスポーツ用多目的車(SUV)GV80の走行テストとアイドリングテストが行われていたという。現代自動車の労組と業界は、テスト中に発生した排気ガスが外部に排出されず、事故が起きたと見ている。
韓国交通安全公団によると、公団で使用中のチェンバー内部には、自動車の排出ガスから出る有害物質を感知するセンサーがある。通常、排気ガスを外部に排出しなければならないが、問題が生じてガスの濃度が一定数値を超えると警告音が鳴り、作業者に知らせ、強制排出するように設計されている。
ある業界の関係者は「チェンバーは特に危険な空間ではないため、すべての業者でセンサーを設置しているわけではない」と話した。安全のためのマニュアルはあるが、酸素マスクの着用は必須ではないという。ただ、チェンバーに研究員3人が入ったこと、チェンバーの内部をモニタリングしたのかなどが、調べる事案として取り上げられている。
大林大学未来自動車工学部のキム・ピルス教授は「3人がチェンバーで作業することはあまりない。ペダルも押しておけばよく、エンジンの過熱などを考慮して、作業者は外から防爆機能のある窓から観察することができる。」「排出ガスの接続や状態から点検するが、今回の事故は常識的に理解できない」と話した。
イ・ハング自動車融合技術院長は「事故原因を究明してみなければならないが、とんでもないことが起きた。」「危険を感知できる人が3人もいたのに事故が発生したということは、システムに問題があったものと思われる」と話した。
現代自動車は事故現場内の安全装置の有無と作動の有無などについて「確認中」と話した。
現代自動車のイ・ドンソク代表取締役社長兼安全保健最高責任者(CSO)は、この日談話文を出し、「決してあってはならない事故が発生したことについて、代表取締役として言葉では言い表せない惨憺たる気持ちと悲痛な気持ちを隠す方法がない。」「遺族の方々に心から深い哀悼と慰労の言葉を申し上げる」と話した。 続けて「今回の事故を契機に、会社は現場の安全確保の重要性をもう一度深く認識している」とし、「関係機関の現場調査と原因糾明の過程にすべての協力を尽くす」と付け加えた。
2024年11月20日 京郷新聞 イ・ジンジュ記者