地球を守る労働者、9割が「刺されて斬られて怪我をする」/韓国の労災・安全衛生2024年10月21日

ソウル九老区にある資源循環センターリサイクル処理場のベルトコンベヤーでリサイクル品の選別員たちが分類作業をしている。/京郷新聞の資料写真

リサイクル品の選別員10人の内9人は、勤務中に切られたり刺されたりするなど、怪我をした経験があるという実態調査の結果が出た。現行の廃棄物管理法は、廃棄物の収集・運搬労働者の安全基準だけを定めており、選別労働者のための安全基準作りが急がれるという指摘が出ている。

女性環境連帯が6~7月に、リサイクル品の選別員77人に行った労働安全実態調査によれば、回答者の93.2%は「勤務中に切られたり刺されたりした経験がある」と答えた。ガラス片に刺された割合が44.2%で最も高く、注射針など医療用品(24.2%)、プラスチック片(13.3%)、金属破片(11.5%)が後に続いた。

事業場で業務関連の保護具を受け取るが、安全に働くには不充分だという回答が多かった。汚染物専用のトングが不足していると答えた回答者は64.9%、防塵服が不足していると答えた回答者は58.4%だった。

この一年間に一ヵ月に1回以上、手と手首に痛みがあったと答えた人は92.2%だった。他の部位の痛みは、肩(79.2%)、腰(77.9%)、首(74%)の順だった。

選別員たちは勤務中に、ホコリ・粉塵、悪臭と騒音などに苦しめられていることが判った。健康に悪い影響を与える有害因子の内、「ほこり・粉塵」が深刻だと答えた割合は85.7%、「悪臭」が深刻だと答えた割合は81.8%、「騒音」は77.9%だった。

廃棄物処理場の多くの有害因子は、選別員の業務ストレスに大きな影響を与えるものと見られる。京畿道にある選別場で五年間働いている女性(68)は、「働いてから5年が経っても、強い汚物の匂いは改善されない」とし「地下にある施設なので、匂いが抜けるのが限られているので頭が痛い」と話した。

この女性は、リサイクル選別に対する社会的な先入観が、悪臭など劣悪な勤務環境を放置する背景だと訴えた。「5年間、周辺の知人たちが『何の仕事をしているのか』と訊いても、正直に話したことはない」とし、「分別収集を『ただ臭いこと』と見る社会的な視線が改善されれば良い」と話した。

リサイクル品の選別員は、強制力のある安全基準や勤務条件を把握できる公的な実態調査もなく働いている。廃棄物管理法第14条は、生活廃棄物の収集・運搬労働者に対する安全基準を定めているが、運搬以後に行われる、選別から焼却・埋立などの過程に関する安全基準は提示していない。

女性環境連帯は、女性労働者は化学物質のばく露により敏感なため、廃棄物施設の労働者の性別を分離した基礎統計を用意しなければならないと提言した。現在は、選別員は「単純労務職」に分類され、廃棄物処理業内の細部統計がない。

女性環境連帯のアン・ヒョンジン女性健康チームチーム長は「環境部は、韓国のリサイクル率が非常に高いと強調しているが、実際にベルトコンベヤーの前に一日中立って、リサイクルゴミを手で再分類する中高年女性たちの労苦は、きちんと尊重されていない」とし、「廃棄物処理施設で働く労働者たちの労災に対して、関係部署が責任から逃げず、積極的な解決方案を用意しなければならない」と話した。

2024年10月21日 京郷新聞 キム・ソンイ 記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202410211649021