汚された国連条約/International Ban Asbestos Secretariat(IBAS), 2023.5.15

2023年5月12日、ロッテルダム条約(RC)の墓に最後の一匙の土が掘られた。交渉、癇癪、大言壮語の激動の1週間の後-ロシアのアスベスト関係者に率いられた-強欲な既得権益者らは、クリソタイルアスベストに関する国連の進展を妨げただけでなく、もはや目的に適さない条約を改革する努力を消滅させることに成功した。[一部省略]
Earth Negotiations Bulletinは、2023年5月12日の午後、ジュネーブ国際会議センターで起こった出来事を次のように記述している[別の関連記事参照]。
先週全体を通じて、COP11では、とりあえず数例を挙げると、RC有効性の強化コンタクトグループの共同議長の人数と身分、コンタクトグループの検討事項、コンタクトグループの作業の手続上の問題や複数の議事手続上の問を含め、小さな問題から大きな問題まで、言い争いが繰り広げられた。対立する陣営の極端な見解と、政府が指示した立場への固着が、議事の実行可能性に深刻な影響を与えた。21の阻止に動いた代表団が条約の中核的な目標を露骨に無視したことは、もしさらに必要であるとしたら、かつてRCの審議を特徴づけていたかもしれない善意と「親密さと尊敬の伝統的雰囲気」がとうの昔に消え去っていたことの証拠であった。
全体会議では、過去長い間のあるリーダーが「尊敬に値する対話」への回帰を訴えた。このリーダーは、代表団が通常この会議でとっていた「不文律の行動や態度」に何が起こったのか、「なぜこのようなレベルの偏向が議論に浸透してしまったのか」と疑問を呈した。あるコンタクトグループでの進展のなさに苛立ち、非生産的な行動だと非難した。時間を浪費させる動議によって生じた妨害と手続の遅れが功を奏し、附属書Ⅷ改正案に対する最終投票は時間がなくなり、最終投票が行なわれた時までに多くの代表がすでに立ち去っていた。
ロッテルダム条約の2023年の会議のテーマは「行動を加速する:化学物質と廃棄物の健全な管理のための目標」であった。COP11のためにジュネーブに集まった2000人の参加者のほとんどは善意で参加したのだが、少数の者はそうではなかった。今回もまた、化学物質の世界的か管理を改善するという参加者の希望は打ち砕かれた。創設からほぼ20年が経過し、RCの有効性を強化するために10年以上議論してきたが、回復の見込みがない以上、瀕死の状態の条約に生命維持を続ける意味があるのかどうか、検討する時期に来ているのではないだろうか。

http://www.ibasecretariat.org/lka-un-convention-defiled.php

安全センター情報2023年8月号