ILO:気候変動下における労働安全衛生の確保 報告書概要/2024年4月22日 国際労働機関(ILO)

■ 気候変動と労働安全衛生

熱波、豪雨、山火事、干ばつ、熱帯低気圧などの頻度や深刻さの増加柄も明らかなように、気候変動は、世界各地で気象や気候の極端化をもたらしている(IPCC 2021)。このことは、これらのハザーズに頻繁に最初に、多くの場合一般の人々よりも長期間、高い強度で、曝露する労働者の安全と健康に深刻な影響を及ぼしている(ILO 2023)。

気候変動に関連するハザーズは、傷害、がん、心血管系疾患、呼吸器系疾患、黄斑変性症、メンタルヘルス問題など、数多くの健康影響に関連している。生産性の低下、事業の中断やインフラの損傷など、経済的な影響も大きい。

報告書「気候変動下における労働安全衛生の確保」は、労働者に対する影響の深刻さと程度から選ばれた、気候変動がOSH[労働安全衛生]に及ぼす6つの主要な影響に関する重要な証拠を提示している-過度の暑さ、紫外線(UV)、異常気象、職場空気汚染、ベクター媒介性疾病及び農薬使用の変化である。報告書には、労働者の曝露と主な安全・健康影響に関するもっとも適切な証拠が含まれている。また、方針・戦略、法律、労働協約、技術指針、訓練・助言イニシアティブ、意識啓発キャンペーン、職場レベルの行動など、これらのハザーズに対する既存の対応の事例もまとめている。

■ ILOと気候変動

気候変動の懸念が新たに注目されているにもかかわらず、ここで取り上げた職場のハザーズやリスクの多くは、それ自体新しいものではない。ILOはすでに、とくにOSHに関連した国際労働基準、実施準則、技術的ガイドラインのかたちで、これらのリスクの多くから労働者を保護するための三者構成による対応を策定している。これらの文書は、気候関連リスクに対処するための法的基盤を提供することによって、適応枠組みを強化することができる。基本的OSH条約第155号及び第187号は、気候変動と関連する職場のハザーズやリスクから労働者を保護することによることを含め、安全で健康的な労働環境という労働における基本的原則及び権利(FPRW)を漸進的に現実化するための青写真を構成している。

最近採択されたILOの2024~30年労働安全衛生に関するILO世界戦略は、国及び国際レベルで重要なパートナーシップを確保しつつ、気候変動に関連したOSH上の懸念が、世界的及び国家的政策課題の上位に位置づけられるべきであることを強調している。

すべての人のための環境的に持続可能な経済及び社会への公正な移行に向けた2015年ガイドラインは、移行の環境的、経済的及び社会的持続可能性に対処するための重要な政策分野のひとつとして、OSHを位置づけている。

ILOは、気候変動と公正な移行に関連した数多くのサブリージョナルレベルのイニシアティブに関与している。例えば サプライチェーンにおける事故、傷害及び疾病を低減させることをめざすG7のイニシアチブであるビジョン・ゼロ基金は、気候変動の影響に対処するための様々な活動を実施している。

■ 気候変動とOSHに関連した既存の国際労働基準及び実施準則

□ 一般的な気候に関連したOSHハザーズ

  • 1981年労働安全衛生条約(第155号)
  • 1981年労働安全衛生勧告(第164号)
  • 2006年労働安全衛生促進的枠組み条約(第187号)
  • 2006年労働安全衛生促進的枠組み勧告(第197号)
  • 1985年労働衛生サービス条約(第161号)
  • 2002年職業病リスト勧告
  • 2001年農業における安全衛生勧告(第192号)
  • 1964年衛生(商業及び事務所)勧告(第120号)
  • 1961年労働者住宅勧告(第115号)
  • 1962年労働時間短縮勧告(第116号)
  • 1953年労働者健康保護勧告(第97号)
  • 建設業における安全衛生実施準則(2022年改正)
  • 造船・船舶修繕における安全衛生実施準則(2019年改正)
  • 港湾における安全衛生実施準則(2016年改正)
  • 林業における安全衛生実施準則(1998年)
  • 露天掘り鉱山における安全衛生実施準則(1991年)

□ 過度の暑さ

  • 1958年プランテーション条約(第110号)
  • 職場の環境要因実施準則(2001年)

□ 紫外線(UV)

  • 職場の環境要因実施準則(2001年)

□ 空気汚染

  • 1977年労働環境(空気汚染、騒音及び振動)条約(第148号)
  • 1977年労働環境(空気汚染、騒音及び振動)勧告(第156号)

□ 異常気象

  • 1993年大規模産業災害防止条約(第174号)
  • 1993年大規模産業災害防止勧告(第181号)
  • 2017年平和及び強靭性のための雇用及びディーセントワーク勧告(第205号)

□ ベクター媒介性疾病

  • 1961年労働者住宅勧告(第115号)
  • 労働環境における生物学的ハザーズに関する技術的ガイドライン(2022年)

□ 農薬

  • 1990年化学物質条約(第170号)
  • 1990年化学物質勧告(第177号)
  • 2001年農業における安全衛生条約(第184号)
  • 農業における安全衛生実施準則(2010年)
  • 労働における化学物質の使用における安全実施準則(1993年)

■ 過度の暑さ

□ハイリスクな労働者の例
農業、環境商品・サービス(天然資源管理)、建設、ごみ収集、緊急修繕業、運輸、観光、スポーツに従事する労働者

□職業曝露の世界負荷
少なくとも24億1,000万人の労働者が毎年労働における過剰な暑さに曝露

□主な健康影響
熱ストレス、熱中症、熱疲労、横紋筋融解症、熱失神、熱けいれん、のぼせ、心血管系疾患、急性腎障害、慢性腎障害、身体損傷

□労働関連健康影響
毎年、過度の暑さに起因する2,280万人の労働傷害、18,970人の労働関連死亡及び209万DALYs

□職場レベルにおける熱関連リスクを管理するためのILO指針
▶職場における環境要因に関する実施準則-第8章 暑さ及び寒さ
気候変動による世界的気温上昇は、より頻繁かつ深刻な死亡率の増加、生産性の低下、インフラへの被害をもたらす。過度な暑さの影響は、業種によって異なるが、もっともリスクがあるのは、肉体的に過酷な仕事に従事する屋外労働者や、温度が規制されていない換気の悪い職場の屋内労働者である。熱に関連したリスクは、環境条件、身体的労作、服装や装備によって左右される。

■ 紫外線(UV)

□ハイリスクな労働者の例
建設業、 農業、ライフガード、発電設備労働者、庭師、郵便労働者や港湾労働者を含め、屋外労働者

□職業曝露の世界負荷
16億人の労働者が毎年労働における太陽紫外線に曝露

□主な健康影響
日焼け、皮膚の水ぶくれ、急性眼障害、免疫力低下、翼状片、白内障、皮膚がん 免疫系、翼状片、白内障、皮膚癌、 黄斑変性症

□労働関連健康影響
毎年、非黒色腫皮膚がんによるもののみで18,960人の労働関連死亡

□職場レベルにおける紫外線を管理するためのILO指針
▶職場における環境要因に関する実施準則-第7章 光放射
太陽紫外線は非電離放射線の一種である。地球に到達する太陽紫外線の量は、大気圏上層部のオゾン分子によって減少する。そのため、オゾン層破壊物質(ODS)の放出によってオゾン層が徐々に薄くなっていることは、大きな懸念材料となっている。太陽紫外線は、屋内労働者よりも少なくとも2~3倍高い線量の紫外線に曝露し、1日の曝露量が国際的に勧告された限界値のの5倍を超えることも多い、屋外労働者にとってとくに問題である。危険なほど高いレベル曝露していることに気づいていないかもしれないことから、紫外線は労働者にとってとくに危険である。

■ 異常気象

□ハイリスクな労働者の例
医療関係者、消防士、その他の緊急対応労働者、清掃に携わる建設労働者、 農業労働者、漁業労働者

□職業曝露の世界負荷
限定的なデータ

□主な健康影響
多様

□労働関連健康影響
1970年から2019年に、気象、気候及び水のハザーズ(職業曝露だけではない)による206万人の死亡

□職場レベルにおける異常気象に対応するためのILO指針
▶1993年大規模産業災害防止条約(第174号)及び付随する1993年大規模産業災害防止勧告(第181号)
▶労働安全衛生マネジメントシステムに関するガイドライン(ILO-OSH 2001)
洪水、干ばつ、山火事、ハリケーンなどの異常気象や自然災害によって、毎年何千人もの人々が命を落としている。労働者は、自称の最中、直後または清掃作業中に、曝露する可能性がある。多くの異常気象はまた、工場や採掘場などの危険な施設に大きな被害をもたらし、危険物質の放出、火災や爆発の引き金となる。将来の気候変動シナリオで予測されている、気象現象の頻度と深刻さの双方の増加は、多くの労働者の長期的な福利を脅かす。

■ 職場空気汚染

□ハイリスクな労働者の例
すべての労働者、とくに屋外労働者、運輸労働者、消防士

□職業曝露の世界負荷
16億人の屋外労働者について空気汚染に曝露するリスクの増大

□主な健康影響
がん(肺)、呼吸器疾患、心血管疾患

□労働関連健康影響
毎年、(屋外労働者のみで)空気汚染に起因する86万人の労働関連死亡

□職場レベルにおける空気汚染を管理するためのILO指針
▶1977年労働環境(空気汚染、騒音及び振動)条約(第148号)及びそれに付随する1977年労働環境(空気汚染、騒音及び振動)勧告(第156号)
様々な空気汚染物質が地球温暖化を促進し、地球温暖化がひいては空気汚染物質の生成につながっている。気候変動による気象パターンの変化は、地上レベルオゾン、微小粒子状物質(PM2.5)及び粗粒子状物質(PM10)、 二酸化窒素(NO2)や二酸化硫黄(SO2)などの汚染物質のレベルに影響を与えている。山火事の増加も粒子状物質とオゾン前駆物質の排出量を増加させる。気候変動はまた、カビや揮発性有機化合物からもたらされる場合もあれば、外気とともに建物内に運ばれる場合もある、室内空気汚染物質の濃度も変化させる。激しい交通量や重工業による大気汚染が多い地域では、屋外労働者により大きな曝露が観察される。

■ ベクター媒介性疾病

□ハイリスクな労働者の例
農業、林業、造園家、土地管理者、庭師、塗装工、屋根葺き工、庭師、剪定工などの屋外作業員、 造園業者、グラウンドキーパー、舗装工、建設労働者、消防士など

□職業曝露の世界負荷
限定的なデータ

□主な健康影響
マラリア、ライム病、デング熱、住血吸虫症、 リーシュマニア症、シャーガス病、アフリカトリパノソーマ症など アフリカトリパノソーマ症など

□労働関連健康影響
毎年、寄生虫とベクターに起因する17,170人以上の労働関連死亡

□職場レベルにおけるベクター媒介性疾病を管理するためのILO指針
▶1961年労働者住宅勧告(第115号)及び労働環境における生物学的ハザーズに関する技術的ガイドライン(2022年)
ベクター媒介性疾病とは、蚊やダニ、ノミなどのベクターによって媒介される、寄生虫やウイルス、細菌によって引き起こされる疾病である。気候変動は、ベクターの個体数、生存率、繁殖への影響に加え、自然生態系やヒトのシステムへの広範な影響を通じて、労働者におけるベクター媒介性疾病のリスク増大と関連している。これらの疾病がもっとも大きな負荷となっているのは熱帯・亜熱帯地域であり、最貧困層に不釣り合いな影響を及ぼしている。しかし、気候変動が悪化するにつれて、多くのベクター媒介性疾病に適した気候の地域が大幅に拡大するとモデルでは予測されている。

■ 農薬

□ハイリスクな労働者の例
農業、プランテーション、化学工業、林業、 農薬販売、緑地、ベクターコントロール

□職業曝露の世界負荷
農業で雇用される8億7,300万人の労働者の相当数について農薬に曝露するリスクの増大

□主な健康影響
中毒、がん、神経毒性、内分泌かく乱、 生殖障害、心血管疾患、慢性 閉塞性肺疾患、内分泌かく乱作用、 免疫抑制

□労働関連健康影響
毎年、農薬中毒に起因する30万人以上の死亡

□職場レベルにおける農薬を管理するためのILO指針
▶1990年化学物質条約(第170号)及び1990年化学物質勧告(第177号)
▶実施準則:労働における化学物質の使用における安全(1993年)、農業における安全衛生(2011年)及び林業における安全衛生(1998年)
農薬の使用量の増加は、気候変動の労働者の安全と健康に対する重要な影響のひとつとして確認されている。農薬の使用は、農薬の効力、作物の特性、害虫の発生によって直接影響を受けるが、これらはすべて気候変動の影響を受ける。降水量の増加は土壌浸食を引き起こし、その結果、窒素やリンといった植物の生育に不可欠な土壌養分が減少するため、肥料の使用も気候変動の影響を受ける可能性がある。危険性の高い農薬(HHPs)は、その広範な使用によって世界の多くの地域で深刻な健康問題や死亡事故が発生していることから、大きな懸念事項となっている。

■ 気候変動に関連したOSHハザーズ・リスクへの対応の事例

国の方針・戦略

気候変動に関連したOSH上の懸念が、職場での行動や労働者の健康の保護に明確に言及することで、公衆衛生・環境方針・戦略にに組み込まれる場合もある。また、気候変動に関連したハザードやリスクが、今後数年間に実施すべき行動やイニシアティブを定めて、国のOSH方針・戦略に優先事項として位置づけられる場合もある。

法律・規則

OSH法令は歴史的に、温度、(太陽紫外線を含む)非電離放射線、空気汚染、(ベクター媒介性疾病)生物学的ハザーズ及び(農薬を含む)有害化学物質からの労働者の保護に対処してきた。一部のOSH法は、職場緊急対応計画を要求して、異常気象や自然災害時の労働者の保護にも言及している。
法令が、使用者にリスクアセスメントを実施し、いくつかの具体的措置を採用することを義務づけている場合もある(例えば、換気の確保、休憩時間の設定、情報や訓練の提供、PPEや安全機器の支給など)。
一部の国で、暑さ及び空気汚染への曝露に対して職業曝露限界値が採用されているものの、太陽紫外線や農薬など、他のハザーズに対してはきわめてまれである。
OSH法令が、暑さ、太陽紫外線、空気汚染、ベクター媒介性疾病や農薬に関連した疾病の予防または早期認定のための定期的医学的検査を提供している場合もある。一部に国はまた、国の職業病リストに、熱関連疾病、太陽紫外線による疾病、生物学的ハザーズによる疾病及び/または農薬関連傷害をを含めている。

労働協約

一部の国では、労働協約が、過度な暑さ、異常気象、空気汚染や農薬など、気候変動に関連したハザーズとリスクの一部に対処する追加的な措置を定めている。これらの協約は、建設業、食品・飲料サプライチェーン、農業や運輸業など、様々な業種における労働者のOSH保護の改善につながっている。

技術的ガイドライン

気候変動に関連した職場ハザーズに対処する、数多くの技術的ガイドラインが、国際的及び国のOSH団体によって作成されている。
ガイドラインは、熱ストレス予防や太陽安全、異常気象に対する準備・対応、空気汚染、ベクター媒介性疾病や農薬の使用などのトピックをカバーしている。そのようなガイドラインが、山火事の煙への曝露からの労働者の保護など、特別な労働者グループや状況に焦点をあてている場合もある。

訓練計画・意識啓発イニシアティブ

一部のOSH団体・当局、使用者・労働者団体、NGO、その他の団体が、気候変動い関連したリスクの増大及びそれらを予防する諸措置に関する情報を広めるために、訓練計画、キャンペーンや助言イニシアティブを開発している。
意識啓発キャンペーンやコミュニティ参画戦略は、農業地域の者など、もっともリスクのある労働者人口を対象にしていることが多い。
労働における過度の暑さや太陽安全に関連した多くの意識啓発キャンペーンが組織されてきた一方で、確認できた、気候変動や異常気象、職場空気汚染、ベクター媒介性疾病や農薬に対処するものは相対的に少なかった。

労働者を対象とした公衆衛生イニシアティブ

気候変動は、労働者と一般市民の健康問題が明らかに結びついている問題であり、そのため一部の国では、OSHイニシアティブが公衆衛生プログラム・キャンペーンに組み込まれてきた。例えば、皮膚がん予防プログラムは、とくに太陽紫外線に曝露するリスクの高い労働者の皮膚の変化を検出するために設定されてきた。また、ベクター媒介性疾病の制圧を目的とした公衆衛生イニシアティブは、もっともリスクの高い労働者集団を対象としてきた。

■ 結論

労働者は現在、気候変動に関連したハザーズからの深刻な健康影響に直面している。
驚異的な数の労働者がすでに職場で気候変動に関連したハザーズに曝露しつつあり、この数字は悪化の一途をたどっている。こうした労働者の多くが、がんや心血管疾患などの致命的な疾病に倒れたり、衰弱させる慢性疾患や障害を発症したりして、それらの曝露のあとで命を落としている。例えば、暑い気候の中で重労働を行う農業労働者その他の屋外労働者など、一部の労働人口は、気候変動の影響にとくに脆弱かもしれず、それゆえ特別な保護措置が必要かもしれない。

現行のOSH方針を適応させ、また、新たな気候変動のための特別の方針をつくり出す必要があるかもしれない。
気候変動のハザーズが進化し、激しさを増すにつれて、労働者が適切に保護されていることを確保するために、既存の法令を再評価し、または新たな規則や指針をつくり出す必要があるかもしれない。OSHへの配慮が気候関連方針の主流となるべきであり、また、気候への配慮がOSH慣行に組み込まれるべきである。新たな法令や方針は、世界的な規範文書のような既存の法律との相乗効果を活用すべきである。

調査研究の強化とエビデンスベースの強化が対応の指針となる必要がある。
現在のところ、科学的エビデンスは、多くの重要な分野においてきわめて限られており、存在するものも労働衛生よりも公衆衛生に重点を置いていることが多い。様々な国や業種における予防的OSH対策の有効性を開発・評価するためには、包括的で質の高い研究が必要である。

社会的対話は、変化しつつある労働の世界において、効果的なOSH対応の基礎である。
OSH方針・プログラムは、政策の一貫性を確保するために、労働省や保健省を含む政府省庁間で調整されるべきである。労働者と使用者は、職場で適切な行動をとるのにもっとも適した立場にあることから、政府と社会パートナー間の社会的対話も、気候変動の緩和・適応政策の開発のために必要である。

グリーン化もまたOSHの新たな課題をもたらす。
企業は、職場からの排出を削減し、持続可能な労働慣行を実施する方法を見つけることによって、気候変動緩和戦略において重要な役割を果たしている。グリーン産業やグリーン技術も、この地球規模の緊急事態に対応するために台頭してきており、長期的な緩和に役立つ可能性がある。しかし、グリーンテクノロジーは、とくに適切なインフラやOSH保護がまだ整備されていない場合、場合によってはOSHハザーズ・リスクをつくり出したり、増幅させたりする可能性がある。

気候と健康との結びつきに対する政治的注目の高まり。
とはいえ、前向きな一歩は 正しい方向に進んでいる。気候と健康との結びつきに対する認識が世界的に高まり続けるにつれ、具体的に気候変動ハザーズに対処するための新たなOSH方針が実施されつつある。COP28のような世界的なイニシアティブの勢いを利用して、人間の健康、とくに労働者の健康に対する政治的関心を高め続け、最高レベルで労働者の保護強化を交渉すべきである。

https://www.ilo.org/publications/ensuring-safety-and-health-work-changing-climate

安全センター情報2024年8月号