労災事故死亡者は減ったが「重傷者はむしろ増加」/韓国の労災・安全衛生2024年08月07日

「国政課題の一番に(労働者が)死なず、怪我をしないようにするということを強調しました。歴代政府で初めてです。そして去年までは事故死亡万人率が0.4以上だったのが、去年初めて0.3に減りました」

6月28日に国会環境労働委員会の懸案報告で、雇用労働部長官が強調したことだ。労働部は最近、労災事故死亡者が減った統計を自慢している。実際、最近三年間の労災事故死亡者は7.9%に減った。しかし、後遺症で永久に障害を負いかねない90日以上の治療が必要な負傷を負った重傷害被災者は、同期間に15%増加したことが判った。このような労災事故と労働者は、産業安全保健法令上、各種調査や処罰措置の対象からも除外される。重大災害死亡者の減少を強調している政府が、自画自賛している場合ではない。

全身麻痺・脳損傷など、事故被災者の増加傾向

共に民主党のパク・ホンベ議員が安全保健公団から入手した資料によると、2020年から昨年まで、労災事故の死亡者は882人から812人へと7.9%減少した。一方、同期間に90日以上の療養が必要な事故負傷者は、5万3440人から6万1465人に、15%増えた。2021年には5万6684人、2022年には5万8019人と上昇傾向にある。

2020年~2023年の労災死亡者数と負傷者数の比較

事故負傷者を業種別に観ると、製造業は同期間に1万4914人から2023年の1万5100人に増えた。建設業は1万7113人から1万7890人に、運輸・倉庫・通信業は3100人から6713人に増えた。林業(606人)、農業(368人)、鉱業(86人)、電気・ガス・蒸気・水道事業(63人)、漁業(17人)の順だった。その他の事業は2万0858人だった。その他の事業は飲食と宿泊業、卸小売と消費者用品修理業で、大衆飲食店・チキンピザ店・中華料理店・大型割引マートなどが含まれる。

90日以上の療養が必要な事故は、永久的な後遺症が発生する可能性がある事故を含む。大韓医師協会の「診断書等作成・交付指針」によると、12週間(90日)以上の治療期間を要する傷害は、かかとの腱、靭帯破裂、鎖骨・胴体・膝関節・腰椎・首の骨の骨折、神経破損、昏睡状態を招く脳損傷、麻痺を招く脊髄損傷、肺切除が必要な肺損傷、胸大動脈・食道損傷などがある。つまり、一部または全身麻痺、臓器損傷、身体の一部の切断、頭と神経損傷などがこれに該当する

大業種別の療養日数90日以上の事故負傷者数
キム・ヒョジョン編集記者

「負傷者二人以上」重大災害の定義から排除
調査、予防措置、事業主処罰の「死角地帯」放置

死亡までではなくても、永久の障害を招きかねない致命的な負傷者が増えるのは、関連法の死角地帯が原因の一つだ。現行の産業安全保健法と施行規則では、重大災害の一つとして、「三ヶ月以上の療養が必要な負傷者が、同時に二人以上発生した災害」と規定する。「重大災害処罰等に関する法律」(重大災害処罰法)は「同じ事故で六ヶ月以上の治療が必要な負傷者が二人以上発生」した場合を、重大産業災害と定義している。

法的な限界は、事故調査や予防措置からも排除される結果に繋がる。安全保健公団などは普通『重傷害災害』に分類するだけだ。重大災害の発生時には、重大災害調査報告書を作成し、事故原因を分析して再発防止方案作りのための資料として利用されているが、重傷害災害者が一人だけの場合は例外だ。調査・予防措置・事業主処罰の対象から除外される90日以上の治療が必要な重傷者が増えるしかないという背景だ。

パク・ホンベ議員「産業安全保健法に概念を追加し、調査対象を拡大しなければ

このため、重傷害被災者についての定義と対策を法で明確に規定し、管理する必要性が提起されている。安全保健公団は、災害調査報告書の作成要件を、重大災害から重傷災害発生時にまで拡大する必要があるという意見を出した。重大災害が発生する場合、処罰を前提とする調査が行われるので、関係者が調査に消極的に応じることになるが、重傷害災害の場合、処罰を前提とせず、予防的に管理できるという考え方だ。

パク・ホンベ議員は「政府は『自己規律予防体系』政策で労災が減少したと自画自賛してきたが、これは深刻な負傷を負った労働者は無視したままで発表した数値」で、「現場の労働者が指摘してきた政策無用論が今回明らかになった」と指摘した。パク・ホンベ議員は「重傷害災害の概念を追加し、事故調査対象を重傷害災害まで拡大する産業安全保健法改正案を早期に発議する。」「分析結果と予防対策を中心に、災害調査結果を公開する根拠を作り、安全保健公団が災害調査に参加する根拠も作る」と強調した。

「現場の看板は『重大災害ゼロ』」/チョン・ギフン記者

2024年8月7日 毎日労働ニュース イム・セウン記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=223041