ウクライナでアスベスト使用が禁止/International Ban Asbestos Secretariat,2023.10.25
「ウクライナと外国のアスベスト擁護関係者による積極的なロビー活動」にもかかわらず、2023年10月1日、アスベストの使用を禁止し、ウクライナ国民を致命的な職場曝露から守るための保護措置を定めた法律が施行された。アスベストの禁止は、ウクライナの公衆衛生制度の改正内容を概説する法律の第28条第3項に規定されている。
「アスベストの製造及び使用は、その種類にかかわらず、またアスベストを含む製品及び材料は、あらゆる施設における技術工程、建設及び組み立て作業において禁止される。アスベスト及びアスベスト含有製品・物質[への曝露]の有害な影響に対する安全対策及び保護対策は、国の保健衛生規則によって決定される」。
アスベスト産出国である隣国-ロシア及びカザフスタン-からの猛反対にもかかわらず、EU加盟国との調和をもたらす法律の施行が実現した。2022年8月の時点で、ウクライナの国家衛生委員会の責任者であるミハイル・ラドゥツキーは、アスベスト禁止草案がロシアの利害関係者から攻撃を受けていると報告していた。
「ロシアに操られた法律事務所が動いている。またしても、法案本文とは無関係の多くの神話を広めている。その語り口は、クレムリンの宣伝員のテーゼと非常によく似ている。アスベストを使用する建材メーカーの一部は、敵の破壊工作に手を貸している。結局のところ、この文書は、世界のほとんどの国で、ファシズム下のロシアでさえ、行ったように、有害な[アスベストの]生産を最終的に禁止する」。
2017年6月26日にキエフで行われた記者会見で、ウクライナ保健省の当局者が、ロシアとカザフスタンで採掘されるクリソタイルを含む-あらゆる種類のアスベストの使用を禁止する措置を実施したと発表して以来、政府閣僚、大使、公務員、非政府組織は、一連の司法措置やメディア攻勢を通じて、アスベストロビーからの砲撃を受けていた。なかでも目を引いたのは、2022年1月、国会、閣僚会議、議会委員会のあるキエフの官庁街近くにアスベストを擁護するポスターを掲示したことである。
フェイスブックページ「ウクライナのためのアスベスト」、ウェブサイト「ストップ[アスベスト]タイル禁止」と上記のポスターのスポンサーが匿名を選んだことを指摘しておくことは意味があるだろう。
ウクライナのアスベスト禁止を支持する国際的な支持者たちは、「ウクライナにおけるクリソタイル・アスベストの使用を即時かつ全面的に禁止する」という措置を支持する際に、身元を隠す必要はなかった。自身もウクライナ系であるウェールズ選出の国会議員ミック・アントニウは、ウクライナ議会の議長に宛てた手紙の中でこう書いている。
「ウェールズは長い工業の歴史を持つ国であり、その結果、クリソタイル・アスベストを含むアスベストへの曝露の結果、病気になったり、障害を負ったり、死亡したりした国民が何千人もいます。私たちは皆、クリソタイルを含むあらゆる種類のアスベストの国際的な禁止を支持しています」。
ウクライナのアスベスト禁止措置実施に関するニュースへの反応を尋ねられたアントニウ氏は、2023年10月24日にこう書いている。
「多くの紆余曲折のなかで、私はプロセスがわからなくなっていました。ウクライナの人々の努力が、国内外のアスベスト利得者たちから突きつけられた司法的、法的、社会的、経済的ハードルを乗り越えることに成功したことを知り、私は感激しています。ウクライナがロシアと戦争している間にこのようなことが成し遂げられたという事実が、この偉業をより驚異的なものにしています」。
※http://ibasecretariat.org/lka-its-official-asbestos-use-banned-in-ukraine.php