患者さんの声が動かす~中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会●第20回総会を開催
6月24日に中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会の第20回総会を開催しました。議長には北関東支部の瀧澤美恵子さん、書記を関西支部の後藤雅子さんと九州支部の弓場真弓さんに勤めていただきました。
昨年度からはじまった石綿健康被害救済小委員会での議論を中心に活動を報告させていただき、今年度の活動方針についても説明させていただきました。引き続き、今年度も救済法の見直しを中心に取り組みを進めていきます。
総会終了後には、記念講演としてNPO法人肺がん患者の会ワンステップの長谷川一男さんと米澤晴美さん、近畿大学医学医学部教授/中皮腫治療推進基金代表浬事の中川和彦さんからお話しいただきました。
現在52歳の長谷川さんは、39歳のときに肺がんのステージ4と診断されました。長谷川さんは当時、ある医師から「人には役目というものがあります。あなたは子どもを育てるという役目があります。それをしなければならない。がんは治らないだろう。しかし、ほんのわずかな可能性がないわけではない。闘いなさい」という言葉から病気と闘う意識へと変化したと言います。
また、日々の活動に関しては、「全部、診察の延長線上、診察で自分が積極的になることによって、物事は好転していく」「全部受け身で、誰かがやってくれて、何か物事が進まないのは誰か悪人がいるせいで。そんなふうには思わずに何かこう、自分ができるととを探そうかなというふうには思っています。ほんの小さな一歩で、何か物事がどんどん変わっていくきっかけになる」と話されました。
米澤さんは、肺がん患者さんのご遺族として活動されていますが、ある患者さんから「患者の闘病の仕方で、残される家族も変わる」との言葉を胸に日々のワンステップの活動をサポートされているとのお話をいただきました。
医療者として、中川さんからは、がん治療の臨床研究の第一人者として、新しい薬剤が出てくるまでの困難さについてお話しいただく一方で、これまでも少しずつ状況が変化してきたことにふれ、「国であったり、医者であったり、病院であったり、そういうものを動かしていくのはやっぱり患者さんの声」だと話されました。最後に、「中皮腫に対する薬剤開発の一足一足を確かめながら、頂上に向かって、皆さんたちと一緒に進んでいきたいと思っております」と決意もいただきました。
引き続き、多くの関係者と連携して取り組みを強化していきたいと考えています。(中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会)
安全センター情報2023年12月号