未だに職場で人を殴る国・・・「頭から出血、肋骨にひび」 2023年12月10日 韓国の労災・安全衛生
「営業社員として就職しました。支店長は月の売上を達成できないと、『どんなの気持ちで生きているのか』と人前で暴言を浴びせ、何人かは頬を叩かれて首を絞められるなどの暴行を受けたりもしました」(2023年11月、職場の甲質119へのEメール情報)
職場の甲質119が、今年1月から11月までに届けられた身元が確認されたEメールによる情報提供1121件の内、直接的な物理力の行使があった暴行被害情報提供は65件だった、と明らかにした。刑法上の暴行罪はもちろん、勤労基準法によって更に厳重に処罰される職場での暴行が依然として起きているということだ。
情報提供の事例を見ると、暴行は会議室、事務室、会食の席などで、様々なやり方で起きている。2023年6月にAさんは、「金融会社の支店で働いています。飲み会の後、常務を家まで送って行ったところ、突然、何に怒ったのか、悪口を言いながら傘で私を数回殴り、傘を投げ付けることまでしました」と情報提供した。食堂で働いている情報提供者のBさんは「食堂の社長が教えてくれてもいないことなのに、気に入らないと言って脛の骨を蹴り、携帯電話で血が出るほど頭を殴りました。怒って私の胸を殴って、肋骨にひびが入ったこともあります」と話した。情報提供事例の中には、火が点いた煙草を目の近くに持ってきて「焼いてやる」と脅迫したり、梯子の上からペンチやハサミなどを投げるといった暴力行為もあった。
暴言、暴行は職種を問わず起きていた。9月から職場の甲質119が全国の満19歳以上の会社員1000人以上を対象に行った職場内いじめ経験のアンケート調査によれば、会社員1000人の内、153人(15.3%)が暴行、暴言を経験した。事務職(14.8%)、生産職(17.2%)、サービス職(15.2%)など、職種に係わらず均等に分布していた。情報提供の事例では、暴行を受けても通報や問題提起を難しくする様子も見られた。ある情報提供者は、「(暴行を受けたが)無断退社すれば、なにがしかの不利益がある」と心配していた。
殴打や胸ぐらを掴むといった身体に直接的な物理力を行使することはもちろん、相手の体に触れなくても、殴るかのように手足や物を振り回したり投げる行為、故意にタバコの煙を相手に吹きかけたり唾を吐いたりする行為も、刑法と勤労基準法上の犯罪行為になる暴行だ。刑法は「人の身体に対して暴行を加えた者は二年以下の懲役、500万ウォン以下の罰金、拘留または過料に処する」と規定している。勤労基準法は、特に職場で、「いかなる理由であっても勤労者に暴行をしてはいけない」と規定しているが、これに違反した場合「五年以下の懲役または5千万ウォン以下の罰金」に処すとし、刑法の暴行罪よりも厳格に処罰することにしている。
職場の甲質ラ119のキム・ハナ弁護士は「職場で起きる暴行は、類型を問わず容認されない行為であり、いじめを越えた犯罪」なのに、「それでもこのような情報提供が絶えない理由は、閉鎖的な組織文化に慣れて、暴行を容認したり、異議を提起した人に不利益を与える慣行のためだと診断する」と話した。
2023年12月10日 ハンギョレ新聞 チャン・ヒョンウン記者