「海の上の金鎔均」を防ぐ漁船安全操業法改正案、国会を通過 2023年12月08日 韓国の労災・安全衛生

韓国で移住船員として働いた中国人(47)が、釜山のチャガルチ市場の入り口に停泊している漁船を眺めている。/京郷新聞の資料写真

死角地帯に放置されていた漁船労働者の安全保健環境改善のための漁船安全操業法改正案が、国会・本会議を通過した。『労働災害は船乗りの宿命』という認識もあり、毎年100人もが海で亡くなる現実を変えるための礎石が用意されたと評価されている。

改正案は国会・農林畜産食品海洋水産委員会が先月、無所属のユン・ミヒャン議員、共に民主党のウィ・ソンゴン議員が各々発議した法案を統合・調整し、委員会の代案として用意したものだ。改正案は前日に法制司法委員会を通過していた。

従来の漁船員安全保健法の体系は船舶重量(20トン)を基準に二元化されている。20t以上の漁船には海洋水産部が管轄する船員法が適用され、雇用労働部が管轄する産業安全保健法は、補充的にのみ適用される。20トン未満の漁船には、船員法ではなく産安法が適用される。

京郷新聞は2020年4~5月に、<海の上の「キム・ヨンギュン」>企画シリーズによって、漁船の重さによって管轄部署が異なり「漁船員のオーダーメード型の安全保健基準」も準備されていないと指摘した。その後、経済社会労働委員会が同年11月、漁船員労働者の安全保健を規律する法、制度の整備が必要だとして、漁船員雇用労働環境改善委を発足させた。

労使政は一年間の議論を経て、2021年11月に合意文を発表した。経済社会労働委員会は「漁船安全操業法を改正し、すべての漁船について海洋水産部が管轄するようにするなど、一貫性のある制度と管理、監督体系を準備することにした」と明らかにした。 但し、法、制度改善の細部事項は海水部内の労使政協議会を構成して追加議論することにし、二月に最終合意案が導出された。

労使政の合意を土台にした改正案は、法律の名称が「漁船安全操業法」から「漁船安全操業および漁船員の安全保健増進などに関する法律」に変わった。この改正案は、漁船員の船内事故予防などのための安全保健管理体系を新設し、漁船員の安全保健管理を海水部に一元化することを骨子としている。

新設される漁船員安全保健管理体系は、現行の産安法を基盤とするものの、漁船の特殊な労働環境を反映した。具体的には、海水部長官が漁船員安全保健基準を作成、告示しなければならず、漁船の所有者は、船内の危険、有害要因の発掘のための危険性評価をしなければならない。また、漁船員は急迫した危険があれば作業を中止することができ、海水部は、漁船員の安全保健監督のために、漁船員安全監督官を置かなければならない。

ユン・ミヒャン議員は「今回の改正案の通過で、死角地帯にあった漁船員の安全保健分野を体系的に管理できる大きな枠組みが作られた。」「海水部は漁船員の生命、安全を守るための同法が一日も早く施行されるよう、施行令などの細部基準を早急に準備しなければならない」と話した。

2023年12月8日 京郷新聞 キム・ジファン記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202312081659001