法務部の指揮で控訴、勤労福祉公団の呆れる訴訟 2023年10月23日 韓国の労災・安全衛生

チョン・ギフン記者

医学的な因果関係が足りないという理由で労災を承認しない勤労福祉公団の今までの態度が変わるか注目される。国会・環境労働委員会の雇用労働部への国政監査で、与野党の議員が、労災承認の遅延で被災者が経験する苦痛を話し、勤労福祉公団と安全保健公団など、関係機関を叱責した。

国民の税金で控訴、背任行為

共に民主党のイ・スジン議員は、2007年に33歳でパーキンソン病と判定された被災者Aさんの労災遅延の事例を指摘した。Aさんは2017年にパーキンソン病の判定を受けて勤労福祉公団に労災を申請したが、公団は2019年に労災不承認の判定をした。Aさんは不服として行政訴訟を提起し、一審の行政裁判所で勝訴したが、公団は控訴した。

イ・スジン議員は「当事者はパーキンソン病で体が固まっていっているのに、何年かかるか判らない訴訟の泥沼に陥った」と批判した。

この過程で、法務部の訴訟指揮に従った点も指摘した。イ・スジン議員は「行政裁判所が最高裁の判例に従って労災を認めると、勤労福祉公団も法務部に控訴放棄の意見を送った。」「ところが法務部が、医学的な因果関係の不明、判例の未蓄積を理由に控訴を指揮した」と叱責した。イ・スジン議員は「このようなとんでもない訴訟に、国民の税金である訴訟代理費を使うのは背任」と付け加えた。

2017年に出た最高裁の判決は、先端産業労働者の希少疾患と業務の間で、医学的・自然科学的な因果関係が立証し難くても、法的・規範的な観点で妥当に見えれば認めなければならないという内容だ。

労災被害者は医師なのか? どのように立証するのか

国民の力のチ・ソンホ議員は、安全保健公団の疫学調査を指摘した。

チ・ソンホ議員は「長期間3Dプリンターを使用した科学高校の教師4人が肉腫がんに罹り、1人は死亡した。3人は急性乳がんと自律神経系の異常疾病に罹り、人事革新処に公務上災害申請をしたが、不承認の通知を受けた。」「安全保健公団が科学的な研究結果が足らず、ケースが少なく、医学的な根拠が不十分だという理由で、直接的な関連性がないと結論付けたため」と批判した。チ・ソンホ議員は「現在の職業性がんは、相当な因果関係を被害者が立証しなければならない構造」で、「医師・科学者を集めて研究し、データを集める作業を、個人がどのようにするのか? 医師・科学者を集めて研究することを個人がどのようにするのか? これが(この役割をするのが)安全保健公団・勤労福祉公団・業務上疾病判定委員会が存在する理由だ」と力説した。

疫学調査の長期化について持続的に問題を提起してきた民主党のウ・ウォンシク議員も「(労災認定遅延の)根本的な原因は、最高裁が規範的な因果関係を説いたのに、公団が疾病判定委員会を医学的な判断の中心に置いて運営してきたためだ」と改善を追求した。

環境労働委員会の与野党議員は今回の国政監査が終了した後、労災処理遅延問題を議論するための公聴会を開くことにした。

2023年10月23日 毎日労働ニュース カン・イェスル記者

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