「ホルマリン」散布した養殖場の移住労働者の白血病、労災認定 2023年05月21日 韓国の労災・安全衛生

光州・全南移住労働者人権ネットワークが、養殖場で仕事をして白血病に罹った移住労働者の労災認定を要求している。/光州・全南移住労働者人権ネットワーク提供

養殖場で働いて癌に罹った移住労働者に、労災が認められた。この労働者は養殖場で働き、1級発がん物質であるホルムアルデヒドが含まれたホルマリンを扱っていた。

光州・全南移住労働者人権ネットワークは21日、「養殖場で働いて癌に罹った移住労働者が先月27日、勤労福祉公団から労災を認められた」と明らかにした。この団体は「養殖場の移住労働者が、業務上疾病として労災を認められたのは今回が初めて」と話した。

スリランカ出身の移住労働者のカーン(41)さんは、2010年に韓国に入国し、主に養殖場の労働者として働いてきた。カーンさんは2010年10月から一年間、国内のヒラメ養殖場で働き、2018年6月から9月までは、陸上のうなぎ養殖場で働いて生活した。

ワカメと昆布、アワビの養殖場などでも働いていたカーンさんは、2021年1月に体に異常を感じて病院を訪れた。全羅南道の大学病院で、カーンさんは『慢性骨髄性白血病』と診断され、直ちに抗がん治療に入った。カーンさんは「働いていた養殖場で使ったホルマリンが白血病の原因」とし、勤労福祉公団に労災を申請した。

カーンさんが働いていた養殖場のうち、ヒラメとうなぎの養殖場は共通してホルマリンを使用した。ホルマリンには1級発がん物質であるホルムアルデヒドが37%含まれている。カーンさんはヒラメ養殖場で働きながら、魚類の寄生虫を除くために毎月二回、ホルマリンを希釈して水槽に散布した。2018年の四ヵ月間働いた陸上のうなぎ養殖場でも、カーンさんはホルマリンを使った作業を行った。

カーンさんは「寄生虫の除去と水素の掃除などにホルマリンを使った。」「当時、呼吸保護具がない状態でホルマリンを散布した」と説明した。当局の調査で、カーンさんが働いていたヒラメ養殖場では、18ℓのホルマリン缶を毎月3.6缶ずつ使用したと推定された。うなぎの養殖場でも四ヵ月間、18ℓのホルマリン25缶を購入したことが分かった。

労働災害補償保険法は、ホルムアルデヒドにばく露して発生した白血病や咽頭癌は、『職業性癌』に該当すると規定している。

業務上疾病判定委員会は「申請人が勤務した養殖場でホルムアルデヒドの使用が確認され、作業環境を測定した結果、短期高濃度ばく露基準に近かったり超過したばく露があった」と判断した。続いて「ホルムアルデヒドは、作業の態様と最大ばく露量によっても白血病の発病の危険を高め、申請人の場合、(白血病の)平均的な発病年齢よりも低い点を総合的に考慮する時、業務との相当な因果関係が認められる」とした。

人権ネットワークは、養殖場でのホルマリン使用が日常化した可能性があると見て、当局が作業環境に対する全数調査を進めるべきだと要求している。

全南労働権益センターのムン・ギルジュ所長は「当局が養殖場の作業環境と使用薬品に対する調査を行うべきだ。」「大部分が移住労働者である養殖場の労働者を対象に、カンさんのような事例はないか、特殊健康検診も実施しなければならない」と話した。

2023年5月21日 京郷新聞 カン・ヒョンソク記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202305211521001