二人一組勤務・利用者教育~訪問ケア労働者の保護に会社が取り組まねば 2023年3月12日 韓国の労災・安全衛生

2021年3月8日に民主労総所属の女性労働者が『世界女性の日』113周年の記者会見をしている。/クォン・ドヒョン記者

障害者活動支援士と在宅療養保護士など、訪問ケア労働者の性暴力被害を予防するためにはなにが必要だろうか。現場の従事者たちは「二人一組勤務」を最も確実な代案に挙げる。イ・ヨンスク在家療養保護士は「性暴力被害は、利用者と二人きりの環境で最も起きやすい。」「訪問入浴サービスで二人一組が定着したように、通常勤務にも定着させなければならない」と話した。

  国家人権委員会は昨年4月、「受給者や家族による人権侵害が繰り返されるなど、特別な事情がある場合は、在宅療養保護士が二人一組で勤務できるように、費用・人材などの支援基準を作るべきだ」と勧告した。健康保険公団は昨年9月にこれを受け容れた。

  二人一組の勤務が現実的に難しいという反応も出ている。訪問介護サービス業者の大多数が民間施設であるからだ。人権委の調査によると、2020年現在、全療養機関、2万5384ヵ所のうち99%が民間機関だ。全国保育サービス労働組合のチョン・ジヒョン事務処長は「民間療養機関は財政の問題で二人一組がより難しい。」「公共の領域が、保育にもっと責任を負わなければならない理由だ」と話した。

  『利用者中心』一辺倒で運営される訪問サービス業者の慣行を破るべきだという指摘もされている。現場では、ケア労働者の必要よりも利用者の要求が優先される。全国活動支援士労働組合のコ・ミスク組織局長は「問題があった利用者には異性の担当者を配分しないように要求すると、『マッチング』は利用者(障害者)の選択権だという業者もあった」と話した。韓国女性労働者会のペ・ジンギョン代表は「利用者を制裁すると顧客を失うことになるので、利用者がどんなことをしてもサービスが提供されている状況だ」と話した。

  現場対応マニュアルを作る時、現場従事者の声をもっと多く反映すべきだという意見もある。一対一のサービスの特性上、基準が人によって異なる可能性があるからだ。 コ・ミスク組織局長は「入浴サービスだけでも、会社ごとに『受け容れ可能な範囲』が違う」として「上半身までは可能なのか、服を着た状態であれば可能なのかなど、具体的な議論がなければ、現場に有意義なマニュアルは作られない」と話した。

  サービス利用者に、事前教育・案内メッセージ等で、性暴行行為が処罰される可能性があるという明白なメッセージを伝えることも必要だ。ユニオンセンターのキム・ジョンジン理事長は「不当行為をした利用者はワンストライク・アウトにするなど、悪性の顧客を制止できる明確な規定があるべきだ。」「コールセンターやレンタル・アフターサービスセンターなどの指針改善の事例を参考にするのも一方法」と話した。

  浄水器・加湿器などのレンタル家電点検労働者が働くLGケアソリューションは、12月から案内メッセージに「マネージャーを尊重するようにお願いします」という字句を追加した。「暴言、暴行、セクハラを行った場合、法的処罰を受けることがあります。」という字句も含む。LGケアソリューション労組のキム・ジンヒ首席副委員長は「警告性のメッセージが書き込まれた以後、被害事例が減った。」「無用の長物だった緊急ボタンよりも効果がある」と話した。ペ・ジンギョン代表は「安全な職場を作るのは会社の責任」とし、「保護措置をしているということを明確に知らせる方法を見付けるべきだ」と話した。

2023年3月12日 京郷新聞 チョン・ジヒョン記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202303121523001