道路で死亡した物流労働者が77人、労災調査もなく 2023年3月3日 韓国の労災・安全衛生

資料写真チョン・ギフン記者

昨年、配達・宅配・貨物運送といった仕事で、道路で交通事故で亡くなった労働者は77人だった。業務上の事故死亡者の内、墜落(322人)、衝突(92人)、挟まれ(90人)の次に多い割合を占めている。しかし、交通事故で亡くなった労働者たちは、雇用労働部が災害発生日基準で発表する労災統計には全く反映されていない。道路で発生した交通事故は、産業安全保健法で規律しないためだ。労災として承認された交通事故は、明らかに仕事をしている時に発生した「業務上事故」だが、労災予防対策のない巨大な「穴」だ。日本のように、業務と関連した交通事故を別途に調査し、原因究明と対策を準備する制度が必要だという声が出ている。

昨年の労災補償者13万348人・・・・死亡万人率は1.1で、4年振りに上昇

2日に労働部が発表した2022年労働災害発生現況によると、昨年、労働者1万人中1.1人が労働災害で亡くなった。死亡万人率が上昇したのは、2018年に1.12を記録して以来4年振りだ。

労災による死亡者数は2223人で、1年前より143人(6.9%)増えた。業務上の疾病による死亡者は1349人で、前年より97人(7.7%)増加し、業務上の事故による死亡者も46人(5.6%)増加した。死者を含む被災者数は13万348人で、事故による被災者が10万7214人、疾病による被災者は2万3134人で、1年前よりそれぞれ4.8%、13.2%多くなった。

労災発生現況統計は、昨年、勤労福祉公団から労災と承認された人数を基準に集計する。通常、出退勤災害は除外するものの、運輸業と飲食宿泊業の事業場の外の交通事故で発生した死亡者は含まれる。労災発生状況は我が国の公式労災統計だ。

労働部が1月に『災害発生日基準』で集計して発表した『災害調査対象の死亡事故発生現況』統計は付加調査だ。公式の労災統計は公団の労災承認日を基準に集計されるが、災害発生年度と『時点』に差があり、これを補完するために作ったものだ。ただし、災害発生日基準統計は、勤労監督官執務規定(産業安全保健)に従って捜査した労災だけを対象にする。公団が労災として承認したとしても、『事業場外の交通事故』や『明白に事業主の法違反でない事故』は除外される。

昨年の災害発生日を基準にした災害調査対象の事故死亡者は644人(611件)で、公式労災統計より230人少ない。 このように差が出る統計の中で、最も大きな比重を占めるのは『事業場外の交通事故』だ。

特殊雇用職の労災補償が拡大し、業務上の交通事故が1年間で27.2%と急増

昨年、事業場外の交通事故で亡くなった労働者は77人だ。業務上の事故死亡者全体の8.8%を占める。これまで事故死亡者の半分ほどを占めていた落下や挟まれ事故は、1年前よりそれぞれ29人、5人減ったが、事業場外での交通事故は21人も増えた。

事実、事業場外での交通事故の増加は、実際に死亡者が増えたというよりも、『統計数値』上の変化と見なければならない。労災保険の加入の拡大で、この間統計にほとんど反映されなかった特殊雇用労働者の労災が、今になって姿を現しているためだ。昨年、労災事故で死亡した特殊形態勤労従事者は63人と集計される。1年前より75%(27人)増加した。このうち、クイックサービスの運転手(配達労働者)が39人で最も多い。昨年増えた事業場の外での交通事故死亡者(21人)は、すべて配達労働者(クイックサービス運転手)だ。配達労働者だけでなく、建設機械従事者(14人)、貨物車主(7人)、宅配運転手(3人)など、昨年に業務上の事故で死亡した特殊形態勤労従事者の大部分が、道路上で仕事をする労働者たちだ。クイックサービス運転手は、2018年から労災保険加入の門が開かれたが、昨年までは『専属性要件』で足を引っ張られ、複数の事業場で働けば労災適用がされず、一部だけが加入している。

事業場の外の交通事故を傍観する労働部、「日本は事業用自動車交通事故別に調査」

問題は道路上の交通事故に対する労災予防対策が全くないということだ。『事業場の外での交通事故』に対する調査は警察庁の所管で、労働部は関与しない。

ソウルサイバー大学のカン・テソン教授(安全管理学)は、「現行の制度は、道路上の労働災害を『補償』の対象と見るだけで、『労災予防』の対象としては見ていない」とし、「懲罰ではなく、予防のために労働部が業務上の交通事故の原因調査を徹底し、対策を準備しなければならない」と話した。実際、日本の場合は国土交通省の『事業用自動車事故調査委員会』で業務と関連した交通事故を調査し、厚生労働省に通報する制度を準備している。交通事故の原因が構造的な過労・過積載・過速の場合、これを予防する責任は労働部にあるためだ。

2023年3月3日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=213747