労組との対話で建設現場の死亡事故が減ったのに・・・今の政府は『建暴』攻勢だけ 2023年3月2日 韓国の労災・安全衛生

民主労総・建設労組の組合員たちが2月27日、建設労働者を組織暴力団と罵倒する尹錫悦政権糾弾の記者会見を行い、反政府対策についての立場と2・28上京闘争を発表している。/シン・ソヨン記者

2018年にタワークレーンの設置・解体作業中に亡くなった建設現場労働者は「0人」だった。一年前までは、同じ作業をしていて崩壊事故が発生し、労働者17人が命を失った。この間に何があったのだろうか。労働者と政府の間に『対話』があっただけだ。

建設現場での凄惨な事故を見て、体験したタワークレーン労働者たちが、複雑な雇用関係による安全管理責任主体の空白、タワークレーンの不良な登録と管理などを事故の原因だと指摘した。政府はこれを受け容れ、2017年11月に『タワークレーン重大災害予防対策』を作った。タワークレーンを全数検査し、元請け建設会社の安全責任を強化した。これまでは、特別な資格のない個人事業者がタワークレーンの設置と解体をしてきたが、専門性を強化するために、作業チームを登録して管理し始めた。多段階下請け構造での安全責任主体を明確にすることが、労組と政府の協業によって実現したのだ。当時、国土交通部のキム・ヒョンミ長官は「2017年には54人に達したタワークレーンの死傷者を「ゼロ」にするなど、労働界との協力によって建設産業革新の基盤を用意した」と評価した。

建設労組はこれまで、建設産業政策の樹立過程で政府の重要な対話相手だった。『工事場のフェンス内』の複雑な構造と不条理を把握できる上に、建設会社の反発が大きくなりそうな産業構造の透明化といった政策のパワーを、労働者の側から得ることができたからだ。工事現場はありふれてはいるが、実際に多くのものが外部には不透明に隠されている。工事費用(建設原価)がいくらで、どのように構成されるのかは公開されない。ほとんど施工には直接参加しない総合建設業者(元請け)、乱立する9万余りの専門建設業者(下請け)、チーム・班長単位の組織と無登録の再下請け業者が複雑に絡まっている。

建設労組と政府が共に作った対策は、労働条件とも連結された不透明な建設産業と、多段階下請け構造を改善しようとするものが多い。2008年当時、乱立した下請け業者等の反対を押し切って、『施工参加者』という下請け業者の存在を『建設産業基本法』から削除し、多段階下請けを一段階減らしたのが代表的だ。

2018年と2021年に出た建設産業の労使政合意文の三つにも、『工事費が適正な水準に策定され透明に支出されるよう努力する』、『低価格競争を誘発する要因を調べ、改善方案を講じる』という内容が盛り込まれた。このような対策は、建設現場の労働条件だけでなく、建設費用の透明性、施工品質の向上といった市民の利害とも無関係ではない。

ただ、このような労政対話は、政府が貨物連帯労組のストライキに対する強硬対応と同時に、労働組合に対する攻勢を強化し始めた時点から、事実上中断された状態だ。建設労組のソン・ジュヒョン政策室長は、「以前の政府と一緒に作った対策推進日程によって国土部と随時疎通をしてきたが、昨年11月以後はこういう対話が事実上中断された」とし、「このような状況で、先月出てきた『建設現場不法・不当行為根絶対策』では、労組の不法行為だけを指摘し、建設業界に対する構造的な問題が全部消えた」と話した。国土部の関係者は「年に一度行われる労-政対話は、昨年9月に行い、意図的に労組との対話を避けたことはない」と説明した。

2023年3月2日 ハンギョレ新聞 パン・ジュンホ記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1081800.html