「犬でも解るのに」・・・・今年の職場パワハラ、5大暴言選定 2022年12月26日 韓国の労災・安全衛生

ゲッティ・イメージバンク

2019年、情報技術(IT)会社に入社したAさんは、業務の特性上、頻繁な夜勤と土曜勤務をしたが、代わりの休みも、時間外手当ても受け取れなかった。チーム長は昼夜を問わずメイルを送り、直ぐに確認しなければ「またまた寝てた? 読まないのか」と、何時も皮肉った。チーム長は業務に関しても「お前には仕事はない。専攻者ではないか」「(資格取得に)頭さえあれば取れるのになぜ取れないのか、勉強していないのか」などの暴言を続けた。悪口と暴言が毎日続き、Aさんはうつ病、不安障害などの診断を受け、2年以上、精神健康医学科で治療を受けなければならなかった。お得意先の会社から暴言とセクハラなどの不当な待遇を受けて会社に報告した時にも、相談の途中にチーム長は「それほど辛ければ、他の人たちはみんな自殺した。メンタルが弱いんだな」「(精神科での診療には)薬を飲めば良いんじゃないか? 縛られて精神病院に入院する程なのか」といった暴言を吐いた。Aさんは職場の甲質119に相談した後、チーム長を会社に申告したが、上司は軽い懲戒を受けただけだった。

Aさんのように職場内の暴言による被害を訴える会社員が多い。職場の甲質119は、2022年1月から11月までに寄せられた、身元が確認されたEメイルによる情報提供、1765件のうち、職場内いじめが1151件(65.2%)だったと明らかにした。この内、暴行・暴言が512件(44.5%)で、不当指示(558件48.5%)の次に多かった(重複含む)。職場の甲質119は、512件中、「それほど辛ければ、他の人たちはみんな自殺した。」「その程度なら犬でも解るのに」「工具で頭を突き刺して殺してしまう」「髪は格好つけてるの? お前みたいな奴は初めて見る」「おい、この野郎、私をゴミみたいに言うのかの? 私を○○みたいに見ているのか」を、最悪の5大暴言に選定した。

職場内いじめ禁止法が施行された2019年7月16日から今年8月まで、雇用労働部に申告された職場内いじめの類型の中でも、暴言が8841件(34.2%)で最も多い。職場の甲質119は「深刻な職場内での暴言は暴行罪として申告できる。暴行罪でなくても、多くの人の前で暴言を吐いたとすれば、刑法上の名誉毀損や侮辱罪として申告でき、職場内いじめとして申告できる」とし、「多くの会社員が暴行レベルの暴言に曝されているのに事実上放置されていて、一対一の対話で発生するので録音できないケースが多い」と話した。

職場の甲質119は「暴言は短期的な影響に止まらず、個人の仕事と生活に長期的・致命的な被害を残すおそれがあるということに、問題の深刻性がある」と指摘した。職場の甲質119のチョン・ヒョンチョル事務局長は「韓国社会特有の権威主義文化では、暴言を荒っぽいアドバイス程度と考える傾向があるが、暴言問題に対する真剣な警戒心が必要だ」と話した。

2022年12月26日 ハンギョレ新聞 チャン・ヒョンウン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1073188.html