外国人技能実習制度の廃止を/全国●キャラバン行動を集中的に実施
本年(2022年)年頭に、法務省古川禎久法務大臣は「特定技能制度・技能実習制度に係る法務大臣勉強会」の設置を以下のように発表しました。
「…特定技能制度及び技能実習制度の在り方については、入管法や技能実習法の附則において、検討が求められているところ、まさに検討時期に差し掛かっています。これらの制度については、様々な立場から、賛否を含め、様々な御意見・御指摘があるものと承知しています。私としては、両制度の在り方について、先入観にとらわれることなく、御意見・御指摘を様々な関係者から幅広く伺っていきたいと考えており、そのため、『特定技能制度・技能実習制度に係る法務大臣勉強会』を設置することとしました。また、同時に、両制度の実施状況についての情報収集・分析を進めるよう、出入国在留管理庁に対して指示しており、順次報告を受ける予定としています。今後、改めるべきは改めるという誠実さを旨として、両制度の在り方について、多角的観点から検討を進めていきたいと考えています。」(法務省ホームページより)
「法務大臣勉強会」は現時点で4回にわたり実施されてきており、法改正を含めた制度改正の動きが始まっているようです。
外国人技能実習制度は1993年の創設以来、制度そのものが偽装されたものであるが故に、各地の「受入れ」現場で、この30年近く様々な人権侵害と労働基準破壊をもたらしてきました。人権侵害や労働基準破壊はしばしば「事件」として報道され「被害者」はもとより「加害者」もつくり出してきました。国連の人権機関をはじめとする国際社会から「奴隷労働」、「人身売買」の構造的問題との批判を受け続けています。2010年の制度改正、2017年の外国人技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)施行により「適正化」を謳われましたが、「奴隷労働構造」というべき構造的問題には変わらず、人権侵害、労働基準破壊は依然としてあとを絶ちません。最近では「中絶強要」や「孤立出産」問題が顕在化しており、被害者であり救済されるべき女性技能実習生を「被疑者」や「被告人」へと追いやっています。
また、2019年から鳴り物入りで始まった特定技能制度も、結局、外国人技能実習制度を前提とした「受入れ」構造となってしまっています。特定技能労働者も労働者の普遍的権利や国際基準、国内労働法での権利が実質的に保障されているとは到底言えません。
私たちは、政府が「制度見直し」を明らかにしている今、欺瞞と偽装した目的故に奴隷労働構造となっている外国人技能実習制度の廃止を強く求めます。そして、経済界の要請への言い訳的な、稚拙な特定技能制度ではなく、地域や現場の切実な要請を直視した労働者が労働者としての権利、人権が担保されたまっとうな「受入れ制度」を創設することを求めます。
私たちは、各地と様々な人々と連携して、外国人技能実習制度廃止とまっとうな「受入れ制度」を掲げて、全国キャラバンを取り組みます。
みなさんの参加を呼びかけます。いっしょにがんばりましょう。
<外国人技能実習制度廃止!全国キャラバン実行委員会>
NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)/外国人技能実習生権利ネットワーク/外国人技能実習生問題弁護士連絡会/全国労働安全衛生センター連絡会議/中小労組政策ネットワーク/フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)
連絡先:外国人技能実習生権利ネットワーク 東京都台東区上野1-12-6 3F/電話:03-3836-9061/FAX:03-3836-9077/メール:caravan2022@migrants.jp
5月20日の厚労省記者クラブ記者会見後、5月22日~6月10日に各地でタウンミーティングやスタンディング、6月11日移住連シンポジウム、12日全国キャラバン集約のデモと集会(東京・上野公園-表紙写真)、13日技能実習機構と政府への要請と、精力的な取り組みが行われました。
安全センター情報2022年8月号