雪だるま式に増える『性暴力労災』 2022年10月07日 韓国の労災・安全衛生

増える職場内の歳暮右直による労働災害(資料:勤労福祉公団)

大学教育センターで働くAさんは2017年に契約職として入社した後、まもなく教育センターの利用者からセクハラを受けた。夜遅く自分の家の近くに酒を飲んで来たり、「君と寝たい」という不快な性的言動が続いた。このようなことが発生した後、Aさんは夜も眠れなかった。病院で重症のうつ病とパニック障害の診断を受けた。Aさんは会社に病気休暇を要請したが認められなかったために、勤労福祉公団に労災を申請した。

Aさんのように仕事をする過程でセクハラや性暴力の被害に遭って労災を申請する労働者が、5年間で4倍以上も増えたことが分かった。共に民主党のイ・スジン議員が勤労福祉公団から取り寄せた「職場内性暴力による労災申請現況」によると、2017年に11件だった性暴力による労災申請は、昨年は53件に増えた。今年は、6月までに既に41件の性暴力労災申請が届けられた。性暴力労災の承認率は平均90.1%(2017~2022年6月)で、平均50%台の他の業務上疾病の労災承認率と比較すると、2倍近く高い。

性暴力による労災は、職場内の位階序列で最も脆弱な青年労働者に集中している。昨年発生した51件の性暴力業務上疾病による労災申請の内、20代が14件、30代が19件で、半分を上回っている。同じ期間の性暴力による労災死亡事件は2件で、いずれも20・30代に起こった。

職場内の性暴力は労災と認められるが、産業安全保健法と労災補償保険法の災害類型には含まれていない。実際に発生する性暴力労災の規模は正確に把握できていないという意味だ。

実際、2019年に韓国労働研究院が発行した『職場内セクハラ・性暴行防止による労働市場からの離脱防止効果』報告書によれば、現在在職している職場でセクハラ・性暴力の被害を経験した労働者は、全体の42.5%に達した。被害を経験した労働者の51%は、退職や転職を望んだ。

イ・スジン議員は、「最近職場内セクハラや性暴力による労災申請が急増し、承認率も他の災害よりも遙かに高い」「セクハラの予防教育など、使用者の責任をより一層強化する一方、産業安全保健次元での性暴力労災を予防できる法・制度的な改善が必要だ」と強調した。

資料写真/イメージトゥデイ

2022年10月7日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=211329