雇用上の性差別是正制度を施行・・・・『積極的救済』が可能に 2022年5月18日 韓国の労災・安全衛生
19日から職場内で性差別を受けた労働者は、労働委員会に、事業主に対する是正命令を要求することができる。
雇用労働部が労働委員会による雇用上の性差別是正制度が施行されると明らかにした。
雇用上の性差別とは、事業主が労働者に、性別・婚姻・家族内での地位・妊娠・出産などを理由にして、合理的理由なく、採用・賃金・教育・配置・昇進・退職・解雇などにおいて不利な措置をすることをいう。
この間、雇用上の性差別をした事業主には、懲役・罰金などの刑罰だけが賦課されていた。これでは事業主の責任は問えるが、差別的な状況に置かれている労働者を実質的に救済できないという指摘があった。これに対し、昨年、国会が男女雇用平等法を改正して制度を作った。雇用上の性差別に遭った労働者が、地方労働委員会に是正を申請できるようにしたのだ。
雇用上の性差別だけでなく、事業主が職場内のセクハラ被害に遭った労働者に対して適切な措置をしなかったり、不利な処遇をした場合も是正申請対象に含まれる。勤労基準法が、職場内いじめなど一部の規定を5人未満の事業場に適用しないのとは異なり、この制度で規定された男女雇用平等は、事業場規模の区分なく、すべての事業場に適用される。
労働委員会は是正申請がされれば、60日以内に差別是正委員会の審問会議を開く。立証責任は事業主が負担する。これによって是正申請がされた場合、事業主は不利な措置に合理的な理由があるということを疎明しなければならない。
差別が認められれば、労働委員会は事業主に是正命令を出す。差別的な処遇の中止、賃金など労働条件の改善、適切な賠償などの措置ができる。賠償額は差別的な処遇によって労働者に発生した損害額を基準とし、事業主の明白な故意が認められたり、差別的な処遇が繰り返された場合には、損害額の3倍まで賠償額を増やすことができる。労働者は差別的な処遇があった日から6ヶ月以内に是正申請をしなければならない。
是正命令が確定すれば、地方雇用労働官署が履行状況を点検し、正当な理由なく事業主が是正命令を履行しなければ、1億ウォン以下の過怠金が賦課される。
これとは別に、労働部長官は雇用上の性差別行為に対して、事業主に職権で是正要求ができる。事業主が要求に従わなければ労働委員会に通知し、審理手続きが行われるようにしなければならない。
中央労働委員会のパク・スグン委員長は「労働委員会による雇用上の性差別などの是正制度の施行が、職場の両性平等の実現に寄与できるものと期待する」とし、「実効性のある救済がなされるよう努力する」とした。
2022年5月18日 京郷新聞 イ・ヘリ記者
https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202205181200001