「下請けの安全事故は元請け責任」を契約書に明記 2019年1月13日

造船業・海洋プラント業といった産業災害発生の可能性が高い9つの業種で、元請事業者の安全管理責任が「下請け契約書」に、大幅に強化された内容で規定される。元請事業者が費用削減などのために、下請け業者の労働者の安全問題の責任を負わない「死の外注化」構造を、契約段階から防止するという趣旨だ。
公正取引委員会が、造船業種で発生した安全事故の責任を元事業者に問うように「標準下請け契約書」を制定・改定した。「標準下請け契約書」は下請け業者の権益保護のために公取委が普及させ、使用を推奨する契約書。
公取委は、造船業・造船製造賃加工業・海外建設業・海洋プラント業・情報通信工事業など、9業種の安全管理責任の主体が元請事業者であることを、新しい標準契約書に明記した。合わせて、安全管理業務に掛かる費用は元請事業者が負担するように規定した。
今回の措置は、2017年5月にサムソン重工業巨済造船所でのタワークレーンの衝突事故で、下請け業者の労働者が大きな被害に遭ったような惨事を防止するための対策の一環だ。当時、事故で31人の死傷者が出て、この内6人が死亡したが、死亡者は全べて下請け業者所属の労働者であった。
但し、キム・ヨンギュンさんの死亡事故の事例には、今回の標準契約書は適用されない。外注業者が下請け法の適用を受ける元請・下請関係ではなく、一般の契約関係だからだ。
公取委は標準契約書が適用される43のすべての業種の下請け契約書に、元請事業者が下請け業者に報復すれば3倍の損害賠償をするという、改正された下請け法の内容も反映させた。

2019年1月13日 京郷新聞 キム・ウォンジン記者