「夜間警備員は十分に休んでいる?」監視・取り締まりの偏見を正す最高裁 2022年2月15日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/チョン・ギフン記者

小学校の警備員が夜間勤務中に脳梗塞を起こし死亡したのは業務上の災害だと、最高裁が判決した。警備員は業務の特性上、待機時間と休息時間を弾力的に取れるとした一審・二審の判断は誤りだったという趣旨だ。

大法院二部は、警備労働者Aさん(当時69歳)の妻が勤労福祉公団を相手に提起した、遺族給付と葬儀費用の不支給処分取消訴訟の上告審で、原告敗訴とした判決を破棄し、地裁に差し戻した。

Aさんは14年7月から、小学校の警備員として夜間勤務をしてきた。平日は午後4時30分に出勤し、翌日の午前8時30分まで、休憩時間2時間と睡眠時間8時間を除く6時間働いた。休日は午前8時30分に出社し、24時間(休憩3時間、睡眠時間8時間)後に退社した。休みは二週間おきに月二回に過ぎなかった。

彼は警備室のないところで働いた。校内を歩き回りながら、パトロールやゴミ拾い、草花の水やりなどの業務を行った。休む時は宿直室を利用した。2017年の子どもの日の前日の5月4日、夜間勤務中に倒れていたのが発見され、病院で「脳梗塞症および基底核出血」と診断されて闘病していたが、心停止で20日後に死亡した。彼は倒れる前の一週間はずっと勤務していた。

Aさんの妻は遺族給与と葬儀費を支給して欲しいと公団に要請した。しかし、公団は17年10月に不支給決定を行った。雇用労働部の産業災害補償保険再審査委員会の再審査請求の結果も同様だった。委員会は2017年12月に改正される前の雇用労働部の告示に従った。当時の告示は、発病前の12週間の業務時間が一週間平均60時間を超過した時に業務との関連性を認めた。Aさんの12週間の業務時間は平均5~7時間で、基準に達しなかった。遺族は2018年3月に訴訟を起こした。

一審はAさんの業務が「取り締まり」で、十分に休める環境にあるとし、遺族の請求を棄却した。裁判所は「Aが実際に巡察業務を行った時間は4~5時間程度で、勤務時間中は持続的に高度の集中と緊張を要する状態だったとは考えにくい」とし、「警備業務の特性上、待機時間と休息時間も比較的弾力的に取れるとみられる」と判決した。

特に「毎月二日連続して24時間ずつの休みが保障され、働く時も独立した空間で、8時間連続して睡眠できた」と判断した。業務環境を見ると、精神的ストレスや慢性的なストレスが認められるとは考えにくいという趣旨だ。講堂の扉を開く業務に関しても、片道400歩動くだけだとし、遺族が主張した1時間の夜間業務も認めなかった。「業務が脳梗塞の発病と悪化に相当な影響を及ぼした」という裁判所の鑑定医の所見も排斥した。二審も一審と同様の判断をした。

最高裁は、「警備業務の特性と医学的な所見、改正された告示の規定を十分に見なかった」として、原審を覆した。「改正された告示の施行前に不支給処分があっても、改正された告示を斟酌して、相当因果関係の存否を判断できる」とし、「故人の発病前の12週間は、1週間の平均業務時間が52時間を超え、休日が足りない業務としての業務負担加重要因が存在する」と判決した。月二回に過ぎない休みも考慮した。休みが少なく、生体リズムの混乱で疲れやストレスを誘発したということだ。結局、裁判府は、原審の判断に業務上災害の相当因果関係の法理を誤解した過ちがあると判決した。

遺族を代理したチョ・エジン弁護士は「交代制勤務の健康への影響に関する無理解と、監視・取り締まり業務は身体への負担が少ないという偏見が、判決に影響を及ぼしたとみられる。」「控訴審でも一審の間違いが訂正されなかったが、最高裁が法理の誤解を遅ればせながら正した」と説明した。

2022年2月15日 毎日労働ニュース ホン・ジュンピョ記者

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