FDAがタルク含有化粧品に含まれるアスベストの検査方法に関する連邦機関間ワーキンググループ(IWGACP)の科学的意見を公表/FDA News Release, 2022.1.13
今日[1月13日]、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、健康影響が確立された既知の人に対する発がん物質であるアスベストの存在の可能性についての、タルク含有化粧品及び化粧品への使用を意図したタルクの検査に関する科学的意見を含んだ、化粧品に含まれるアスベストに関する機関間ワーキンググループ(IWGACP)によってまとめられた白書を公表した。科学的専門家らによるこの意見は、タルク及びタルク含有化粧品の検査方法についてのFDAの考え方を知らせるためのものである。
「FDAは、アメリカ市場における化粧品の安全性を確保に役立つ全体的努力の一環として、タルク含有化粧品のサンプリングとアスベスト検査を行ってきた。「われわれは、タルク含有製品に含まれるアスベストの検査方法として、一部の業界メンバーが採用している方法が、必ずしもアスベストの存在を検出していないことを認識している」、とFDA食品安全・応用栄養センターのスーザン・メイン所長は言う。「それが、機関間ワーキンググループが、利用可能な方法について最新の科学的知見に基づいて検討することになった理由である」。
白書「タルク含有化粧品(化粧品への使用を意図したタルクを含む)に含まれるアスベストの件さ方法に関する科学的意見」は、タルク含有化粧品に含まれるアスベスト繊維の検出及び確認に関連したIWGACPの科学的意見の概要を示すものである。アスベストを検出するための、現在使用されている他の方法の能力の欠点が長い間認識されていたことを考えれば、今回の意見は重要である。例えば、1976年に化粧品業界が自主的に採用した方法である、化粧品・トイレタリー・香料協会(CTFA)[現パーソナルケア製品評議会(PCPC)]J4-1は、最初にX線回折で角閃石系鉱物が検出される場合、偏光顕微鏡(PLM)に依拠している。しかし、最近の透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた化粧品の検査は、同じ製品に対してPLMを用いて陰性所見だった[アスベストが検出されなかった]試料に含まれるアスベストの存在を明らかにしてきた。
白書の科学的意見には以下の関連した助言が含まれている-アスベストの存在を確認及び報告するためにはPLMとTEMの両方を利用すること、長さ0.5μm以上で縦横比3対1以上のアスベスト及び他の類似粒子をすべて報告すること、所見を適切な証拠書類を付けた分析報告を提供すること、検査機関が資格を取得し、定期的にレビューされていることを確保するために、訓練、品質保証及び品質管理などを含む方針及び手順を確立すること。
FDAは、公衆衛生を守るための努力のなかで、タルク含有化粧品中のアスベストの存在を評価するためのサンプリングと検査を継続してきた。FDAの以前及び現在のタルク含有化粧品のサンプリング検査では、アスベストを検出するためにPLMとTEMを用いている。
FDAは、タルク含有化粧品のアスベスト汚染に対処するための規制プロセスの次のステップの策定する際に、これらの科学的意見を考慮する一環として、白書をピアレビューする計画である。白書に示された科学的意見は、タルク含有化粧品の安全性に影響を与える可能性のあるアスベスト及び他の鉱物粒子について、関係粒子の定義及び標準化された検査方法に関する規制方針の策定を支援するために使用される可能性がある。FDAがタルク中のアスベストの基準または検査方法に関する勧告を策定すると決定した場合、FDAはガイダンス案を示して、パブリックコメントを求めるだろう。同様にFDAは、パブリックノーティスとパブリックコメントを通じて、関連する規制を提案するだろう。
IWGACPはFDAによって設立され、アメリカ連邦諸機関の対象問題の専門家によって構成されている。2020年2月にFDAは、アスベスト検査方法に関する情報を募集するパブリックミーティングを開催した。IWGACPは、その科学的意見を策定するために、パブリックミーティングや訴訟記録から受け取ったコメントや情報を考慮した。
今日の白書の公表をもって、IWGACPの取り組みは終了となる。FDAは、タルク含有化粧品の安全性の確保に役立つ努力の一環として、それをピアレビューすることを含め、白書で示された科学的意見を検討する。連邦食品医薬品化粧品法-化粧品に対するFDAの監督を規定する法律-においては、化粧品は、アメリカの消費者に販売する前に、FDAのレビューまたは承認を受ける必要はない。この法的枠組みは、国内産業と外国からの輸入の巨大な成長を考慮した現代化もなされていない。化粧品に対する権限は限られているものの、FDAはIWGACPのような努力を継続し、市場にある化粧品の安全性に問題がないか監視し、汚染された化粧品から消費者の安全を守り続けるのに役立つ必要な措置を講じることを約束し続ける。
アメリカでは、タルク中のアスベストの有無の分析に電子顕微鏡を用いることがかなり一般的になっているものの、標準化された手法が確立されていないために、このような議論が行われている。日本では、電子顕微鏡の使用を当局が要求するどころか勧めてもおらず、一般的になっているとも言い難い状況が続いている。