新型コロナ事態で強制休職中に自死した客室乗務員に『初の労災(産災)認定』 2021年11月09日 韓国の労災・安全衛生
コロナ19事態による強制休職中に、うつ病で極端な選択をした乗務員に対して、業務上災害と見られるという判定が出た。コロナ19で、精神疾患による産災申請が前年比75%も急増した状況で、今後、他の業種でも業務上災害が認められる事例が増えるものと見られる。
京郷新聞の取材に勤労福祉公団の業務上疾病判定委員会は、9月30日に前の大韓航空の乗務員・Aさんに、「審議を経て産災と認定する」と通知した。
大韓航空の客室乗務員だったAさんは、昨年、コロナ19で航空便が急減して、会社の方針によって循環勤務を始めた。3月から6月まで休んで7月に復帰し、13日間勤務した後、再び無期限休職状態に入った。休職中は通常賃金だけを受け取った。手当てと賞与金の比率が高く、基本給が低い乗務員の賃金構造のため、休職中に受け取った賃金は、いつもの60%に過ぎなかった。Aさんの経済的な負担は大きかったが、会社の就業規則でアルバイトを含む兼職が禁止され、副業も難しかった。現在は改正されたが、当時、政府が使用者を支援した雇用維持支援金制度もやはり、兼職時には支援金が中止された。Aさんは無期限の待機状態下でうつ病を病み、昨年の秋頃に自死し、遺族は3月に勤労福祉公団に産災を申請した。
Aさんのうつ病は勤務状態でない休職中に起き、強制休職もコロナ19という全世界的な感染病が主な原因なので、自死が業務上の理由によるものかどうかが争点だった。
勤労福祉公団の疾病判定委は産災を認め、コロナ19によって航空需要が急減して業務量が減り、望まない休職が繰り返されて職業による不安定性が高まったと見た。また、休職中の兼職禁止で経済的困難が加重され、復帰の予測が難しい状況が、うつ病に及ぼす影響が認められるとも明らかにした。疾病判定委は「正常な認識能力が顕著に低下し、合理的な判断を期待できないレベルで自害行為を行ったと見るのが妥当だ」とも付け加えた。大韓航空の関係者は「コロナ19で休業中だった職員の産災判定は今回が初めて」と話した。 公団の今回の決定は、コロナ19で雇用不安が高い航空業界に波及力が大きいものと見られる。金融監督院の電子公示システムを見れば、6月末現在、大韓航空・アシアナ航空・済州航空・ティーウェイ航空・ジンエアー・エアープサンなど、6つの上場航空会社所属の職員は3万5396人で、これはコロナ19事態前の2019年上半期(3万7200人)より1804人減っている。同期間に6航空会社の1人当りの平均給与も23.9%も急減した。休職も無期限になっている。大韓航空は内国人客室乗務員6000人をはじめとして、1万8000人ほどが循環有給休職中だ。航空業の他にも、業種を問わず、コロナ19時期の精神疾患による産災申請は大幅に増えた。国民の力のキム・ソンウォン議員室が先月の国政監査で公開した資料を見ると、昨年、精神疾患による産災申請は581件で、前年度の331件に比べて250件も増えた。Aさんの代理人のチョ・チャンヨン労務士は、「今回の事例で、コロナ19時期の強制休職や解雇で苦痛を受けた当事者と遺族が、国家的次元の補償を受ける可能性が生まれた」と話した。
2021年11月9日 京郷新聞 ユン・チウォン記者
https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202111090600005